人体でネットワークに接続する方法

2012/06/21 カテゴリー Press Releases

人間の体は通信ネットワークの一部になれます。片手に携帯電話、もう一方の手でデバイスに触ると、即座に高速で情報を送受信できるのです。これは将来有望な技術です。「触る」という動作は、インターネットその他のデジタル・サービスにアクセスする簡単で賢明な方法となることでしょう。

「Connected Me」のデモでは、あなたの体内のネットワークを微弱な信号が通過します。エリクソンが開発したソリューションは、人体を伝送路に使って6~10 Mbpsの通信速度を達成するというコンセプトを初めて実証しました。

すでにスマートフォンからの音楽のストリーミング伝送、携帯電話で撮った写真の送信、デバイス上のWebリンクの選択、パスコード送信によるドアの解錠を含む多数のユース・ケースが開発されています。

動作の原理

デモで使ったスマートフォンには、容量性データ伝送を実現する特別なデジタル回路が実装されています。回路は信号を人体に配信するプレートに接続されます。他方の受信機には、人体を通過した微弱信号を識別する同様の回路とプレートが配置されています。

情報は、送信機の電極で電圧を変調し、受信機の電極で電位の変化を検出することで送信されます。電位の変化に並行して小量の電流が人体を流れます。ここでは物理的には容量性カップリングと呼ばれる現象が利用されています。

重要なのは、容量性カップリングで人体のような有機的な素材を介して情報を送信できることです。容量性カップリングと通常のデジタル通信を組み合わせることで、単独の技術では達成が困難または不可能な新たなイノベーションとインタラクションを実現できるのです。

危険か?

使用する電力レベルは低いので危険はありません。Connected Meは開発されたばかりの技術ですが、エリクソンがラボ・キットを測定した結果、スマートフォンなどのような商用デバイス用の要件を十分満たすことがわかっています。

キットはICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection, 国際非電離放射線防護委員会)が策定し、WHO(World Health Organization, 世界保健機関)が公認した標準に準拠しています。

Connected Meプロジェクトは将来の広範な可能性を示すものです。

たとえば車やホテルの部屋の鍵を掛けるときに自分の体を電子回路として利用できます。手で触るだけでお店で支払いができます。プリンターに接続して携帯電話にある文書を印刷できます。しかもBluetoothほどエネルギーを消費しません。

データの通信速度の観点からは、サービスを次のようにグループ分けできます。

低速

  • 着ることによるペアリング(Bluetoothなど)
  • ドアや箱の開閉
  • 支払い
  • 体内シグナリング(体温など)
  • マシンとのメッセージ交換
  • Webページヘのリンク送受信

中速

  • 電話のファイルを画面上に表示
  • ファイルの印刷または保存
  • 人対人の名刺・プレイリスト等の交換
  • 装着型または埋め込み型の医療機器

高速

  • イヤホンへの音楽送信
  • 動画伝送
  • マルチメディア拡張

容量性カップリングにより、まったく新しいスマートフォンなどのモバイル機器を設計できます。たとえばスピーカー、カメラ、その他のパーツを人体チャネルで「パーソナル・アクセス・ポイント」にリンクできますが、これには将来の人体埋め込み型医療機器も含まれます。

この技術のメリットは、使い方が非常に簡単なソリューションを開発できることです。イヤホンを装着するだけで、HBC(Human Body Communication, 人体通信)対応スマートフォンに接続して音楽を再生したり、ハンズフリーで通話ができます。

エリクソンはこれを将来の通信のひとつのあり方だと見ています。エリクソンは通信を使いやすくするための発想と開発に常に取り組んできました。短距離通信を可能にするBluetoothの開発はその一例です。

このソリューションはBluetoothやNFCを代替するものではありません。エリクソンはHBCを、ユーザーにとって親しみやすい新しい通信手段を既存のソリューションに加えるものだと考えています。

この技術の今後の発展は私たち全員にかかっています。モノに触れるという自然な動作と通信技術の組み合わせというクリエイティブな思考には果てしない可能性があるのです。

情報

その他のメリットのまとめ

  • セキュリティ保護されたPAN(Personal Area Network)通信。人に触れることなく信号を盗聴することは不可能です。
  • プリンター等を利用するためにケーブルまたはコネクターを用意する必要はありません。
  • 優れたエネルギー効率により省エネが可能
  • 大量に設置・統合することで安価になるハードウェア

人体通信の歴史

容量性カップリング技術は、1995年にMITのT. G. Zimmermanの修士論文で実証されましたが、その通信速度は約2.4 kbpsにすぎませんでした。

KAIST(South Koreas science university, 韓国科学技術院)とNTTドコモも人体通信のデモを行いました。

HBCはその後しばらく基礎研究段階にありましたが、開発の初期に達成された速度は低いものでした。しかし現在の通信速度はほぼあらゆるコンテンツを伝送できる水準に達しています。エリクソンのソリューションは10 Mbpsで作動していますが、20~40 Mbpsが達成可能な範囲にあります。ちなみにHDTV動画には12~16 Mbpsが必要です。

この技術の実用化の追い風となる少なくとも二つの重要なイネーブラーがあります。その一つは世界中で急速に拡大しつつあるモバイル・ブロードバンドです。エリクソンはモバイル・ブロードバンド・ネットワークの技術面の明確なリーダーです。もう一つは移動通信事業という分野全体の劇的な変化です。現在開発中のスマートフォンの多くは、センサー入力に対応したアプリをベースにしています。容量性カップリングはその意味でも自然な追加機能とみなされることでしょう。

Connected Me

(CES及びMWCにおけるConnected Meのデモ画像)

Connected Me 図表 (When the body becomes the network) (PDF 900KB)

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