見出しだけを読むと、製造業の景気が悪いのかと思うかもしれませんが、それは間違いです。エリクソンは最近、世界の22の市場で3,200人を超える製造業界のリーダーや意思決定者を対象に調査を行いました。エリクソンインダストリーラボによる過去最大規模となった今回の調査では、製造業界の将来について質問しています。回答者10人中7人が、パンデミックが始まって以来の業績は横這いもしくは改善していると述べています。
製造業界のCEOたちにも不安はあります。しかし幸運にも強力な財務体質を備えたこれらの企業は、ソリューションに投資する上で理想的な立場にあります。特に、意思決定者たちは、製造上の課題を克服する具体的な手段として、ICT(Information and Communications Technology)に注目しています。
ただし解決策を検討する前に、まず製造業界が解決しなくてはならない問題を特定する必要があります。詳細は私たちのレポートでご覧いただくとして、ここではそのハイライトと、製造業界にとっての主たる課題についてご説明します。
効率的なカスタマイズ
製造業界は1950年代以降、特定層の顧客(および購入額が十分に大きい個人)固有のニーズを満たすカスタマイズされた製品を提供すべく努力してきました。今日、より高いレベルのカスタマイズの実現に必要なアジリティを実現する実績ある方法の一つは、リアルタイムのニーズに合わせた小さなオーダーメイドのバッチを作成することです。しかし製品のカスタマイズは、特定の顧客固有のニーズに応えるだけではありません。ニーズと好みは急速に変化するため、メーカーは需要の変化に合わせて生産を変更できる柔軟性を必要としています。
しかし私たちの調査では、現在小バッチの生産を行う能力を持っているのはメーカーの五分の一に過ぎないことがわかりました。ますます詳細化する顧客の要件を満たし、市場の絶え間ない変化に迅速に適応してオーダーメイド製品を提供するための競争が激化するにつれて、製造業界のリーダーはそのような柔軟性を提供するテクノロジーの実装に熱心に取り組んでいます。
メーカーは、カスタマイズの効率を高める多くのテクノロジーを検討しています。デジタルツインにより、プロセスの試験計画、試験、障害検出がはるかに高速かつ正確になります。協働ロボット(cobot)を使うことで、製造設備を新しい要件に合わせてすばやく再構成できます。また5Gなどの高度な無線接続を使えば煩雑で複雑な有線網が不要となり、機械を所定の位置から動かす必要はなくなります。
環境への影響の低減:もちろんCEOたちは、地球規模の気候変動対策を目的とする厳格な規制を遵守できるかどうかを懸念しています。しかし彼らの懸念は法律の順守に留まりません。調査対象の意思決定者の10人中6人は、生産設備向けの新しい生産ツールとテクノロジーへの賢明な投資を通じて、企業が環境に及ぼす影響を軽減することが非常に重要であると考えています。実際に意思決定者10人中7人は、将来の生産拠点を維持または展開する国を検討する際には、持続可能性の成熟度が非常に重要な要素になると述べています。
運輸部門は世界の温室効果ガス排出量の多くを生成しているため、経路が最適化されたより効率的な電気自動車、トラック、電気AGV(Automated Guided Vehicles)は、施設からのCO2排出量を削減するのに有用です。また工場のエネルギー消費、スクラップ、廃棄物を減らしつつより多くの製品を製造する方法を見出し、特定するのに役立つAI、デジタルツイン、その他の技術は、環境規制への準拠に貢献できるでしょう。
スキルと才能のギャップ:毎年、高度なスキルと経験を備えた製造業界の従業員が退職します。現在の厳しい労働市場においては、特に製造業の業務がよりテクニカルになっているため、STEM教育を受けた新卒者の雇用はすでに困難な課題となっています。工場の自動化が進むにつれ、この分野では入札や組み立て関連の業務よりも、監視、トラブルシューティング、分析にかかわる業務が必要になるはずです。Deloitte and the Manufacturing Institute はこれらのトレンドの直接的な結果として、2030年までに製造分野で210万の雇用枠が埋まらない状況が発生すると予測しています。
AI、機械学習、自動化技術はスキルのギャップを埋めるのに役立つ一方、ARとVRにより、高度なスキルを持つ少数の従業員が地理的に離れた場所から大規模な組織に大きな影響を及ぼすことができます。
危険で退屈で汚い仕事:製造業界の経営者は、従業員によるこの種の不健康な仕事を減らす自社の取り組みに大いに満足しており、満足していないという回答はわずか2%でした。一方で生産部門担当の従業員は、自分たちの仕事の71%がこれらの少なくとも一つに当てはまると述べています。特に労働力が不足しており、その確保がますます困難になっている市場では、経営者は、製造業界への就業をより安全で魅力的なものにするための投資を優先する必要があるでしょう。
ここではコボットと自動化が大きな役割を果たします。繰り返しが多い危険で汚れやすい作業をロボットに割り振ることで、人間はより創造的で分析的なタスクに集中できます。
製造業界の企業が直面する課題はこれらだけではありません。カスタマイズの説明でも触れましたが、機械が固定されている工場を柔軟性を備えた生産設備に転換する必要があるのです。柔軟な工場構築とは、要するにIndustry 5.0準拠の工場への移行に伴って古い機械をアップグレードして統合することです。もちろんコスト競争がビジネスを混乱させる懸念は常に存在します。
業界のリーダーたちは、ICTへの投資によってこれらの製造業の課題を克服し、今後数十年にわたって繁栄を維持できると信じています。実際に回答者の三分の二は、今後10年以内に少なくとも80%の業務が自動化されると予想しています。
製造企業が投資を計画している今日のさまざまなテクノロジーの展開に対応するICTソリューションの種類と、製造業界内のカテゴリー分けの詳細については、このブログのアップデートをお待ちいただく必要はありません。エリクソンのレポート「The rise of the smarter, swifter, safer production employee: Future of enterprises 2nd edition」で、製造技術のトレンドの詳細な分析とエリクソンのその他の調査結果をご覧いただけます。