サウジアラビアのリヤドで開催されたLEAP 2022で、エリクソンの社長兼CEOのボリエ・エクホルムは、接続性がいかにイノベーションの新しい波を起こし、気候変動問題やデジタル格差などの世界的課題に対処する強力なツールとなるかについて語りました。
これからの一年で通信業界が真に変革をもたらすことができる三つの分野について、詳しく説明しましょう。
温暖化対策
地球温暖化を1.5℃以内に抑制する必要があることは、科学的に明らかとなっています。これを実現するための最初の目標は、社会を構成するすべての業界が、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を50%削減することです。
この目標の達成に大きな役割を果たすのは、各産業分野の低炭素経済への移行ですが、それを実現する可能性を持つのがICTです。たとえばICT業界は現在、世界の温室効果ガスの1.4%を排出していますが、現在利用できるICTソリューションだけで、他の業界の排出量を15%削減できるという研究結果があります。
そして5Gは、CO2の純排出量をさらに大きく削減できる可能性を秘めています。スマートマニュファクチャリング、公共交通機関、電気自動車を支えるスマートな電力網など、5Gはオープンイノベーションのプラットフォームとしてさまざまな産業に直接影響を及ぼします。
私たち通信業界もこの取り組みに尽力しています。数年前には持続可能性を自社課題に掲げるお客様はほとんどいませんでした。現在では売上高で見た世界の通信事業者の3分の1以上がネットゼロと科学的根拠に基づく目標を掲げており、通信業界は中でも最も早くパリ協定の目標に沿う業界となっています。
世界的に著名な科学者であるポツダム気候影響研究所所長ヨハン・ロックストルム(Johan Rocktröm)氏が、気候変動対策におけるエリクソンの役割について語っています。
デジタルインクルージョン
デジタルスキルがなければ、接続性や新技術は役に立ちません。すでに広がっていたデジタル格差は新型コロナウイルスのパンデミックによってさらに拡大しましたが、私たちはそれ以前からデジタルインクルージョンが重要であると考えていました。UNICEFとITUによる2030年までにすべての学校をインターネットに接続する取り組み「Giga」に参加したのはそのためです。私たちはこの取り組みを、学校の接続性をマッピングすることから始めており、すでに100万校のマッピングを達成しています。
接続性のギャップをマッピングする前に、全世界で推定600万校もの学校の位置をどのように特定しますか。
WEF(World Economic Forum)は、デジタル格差問題に対処するためには、業界の垣根を超えたこれまでにない協力が必要であると考えています。WEFは、政府、企業、その他の組織のデジタルインクルージョンへの取り組みを結集し、45のチャンピオンによるグローバルなムーブメントとしてEDISON Allianceを立ち上げ、「1 Billion Lives」チャレンジを開始しました。
エリクソンはこの目的の達成を支援すべく、学校、女子学生、人道的状況、青少年のデジタルスキルに特にフォーカスした「Connect to Learn」プログラムを通じて、2025年までに100万人の子供と若者を支援すると発表しました。
また次世代のイノベーターを触発するため、大学生を対象とした世界的なコンテストである「2021 Ericsson Innovation Awards」のテーマとして「デジタル格差の解消」を定めました。このコンテストに優勝したのは、あらゆる文字や図表からリアルタイムでデジタル点字を作成し、視覚障害者に平等な教育機会を提供するタブレットを開発したインドのチームです。
接続性によって何ができるのかを見せてくれた素晴らしい取り組みでした。
「Ericsson Innovation Awards 2021」を受賞したBlisCareチームは、あらゆる文字や図表からリアルタイムでデジタル点字を作成し、視覚障害者に平等な教育機会を提供できるタブレットを開発しました。
オープンなイノベーションとエコシステム
通信業界の中核にあるのは「結びつける」ことです。これまでに何十億人もの人々を結びつけてきた私たちの業界は今、あらゆるモノを結びつけようとしています。
オープンなエコシステムは、ほぼすべての産業に不可欠です。オープンなエコシステムでは、企業や政府は技術を具現化し共有することによって、全員で発展することができます。オープンなエコシステムはモバイル通信に奇跡をもたらしました。すべてをつなぐ方法が生まれたのです。
2022年にオープン性が特に重要になる理由が二つあります。
第一に5Gが、モバイル通信のみならず接続性に依存するあらゆるエコシステムの基本要素になります。基本的にほぼすべての産業分野や消費者分野がこのエコシステムに含まれます。これを正しく現することが、これまで以上に重要となります。
第二に、デジタルの世界が再び分断される危険性があることです。20年前には五つの異なるモバイル通信標準がありました。最初の真のグローバル標準である4Gは生まれてからまだ10年しか経っていません。
共通の規格を採用したことで、接続性が当時は想像もできなかったほど向上しました。現在のモバイル通信加入契約件数は80億に達し、コストも大幅に低下しました。
しかしこのような成功にもかかわらず、近年は個々の国益を優先して国際社会から距離を置く動きが見られます。各国はより大きな「デジタル主権」を求めており、「スプリンターネット」、つまり国単位のインターネットやデジタル取引環境の開発が話題になっています。
そのような中、私たちは引き続き、モバイルイノベーションの発展を可能にするオープンスタンダードを定義し、保護していくつもりです。エコシステムを超えて互いに協力し合い、新しいアイデアを起こすパートナーと関係を深め、他ベンダー、ハイパースケーラーやクラウドプロバイダーなどの重要な技術企業とのパートナーシップを構築していきます。
2022年の抱負
私の両親は「昨日について何もできないし、今日についてもできることはほとんどない。だけど明日は創れるんだよ」といつも言っていました。
私たちの全員が今、気候変動からデジタルインクルージョン、グローバルエコシステムの維持といったさまざまな課題に直面しています。これらのどれをとっても、一人では何もできない課題です。2022年、私たちエリクソンはパートナーと共に、よりよい世界の実現に向けて取り組んでいくつもりです。
詳細情報
Read President and CEO Börje Ekholm’s previous blog post, Global cooperation to connect every school and learner to the internet.
Read a letter to the G20: why digital holds the key to meeting global challenges.