ネットゼロ実現のために企業ができることは何でしょうか
環境問題に心を痛めていますか?次の世代に託す未来について関心がありますか?私たちの地球を救うための貴重な時間が残り少ないことが心配ではありませんか?私は心配です。地球全体のCO2排出量をネットゼロに削減し、地球温暖化を摂氏1.5度以内に抑え、壊滅的な影響をもたらす可能性がある気候変動を緩和するための時間は、もう30年も残されてはいません。
Exponential Roadmapで概説しているように、私たちは2030年までにCO2排出量を50%削減し、2040年までにもう一度、そして2050年までにさらにもう一度それを行う必要があります。しかしどうすればそれを達成できるでしょうか。そして、どうすれば今私たちが正しい道を進んでいることを次の世代に納得させることができるでしょうか。求められているのは多面的なアプローチであり、そこでは関係者それぞれの役割と、この大きなパズルのすべてのピースが重要な意味を持ちます。
ICT(Information and Communication Technology)自体のCO2排出量は地球全体の排出量の2%未満ですが、それは他の分野のCO2排出量を最大15%削減する可能性を秘めています。これは素晴らしいことのように聞こえるかもしれませんが、他の分野の排出量削減も積極的な脱炭素の努力なしでは起こり得ないので、誰もがネットゼロを目指す取り組みを強化しなくてはなりません。企業も例外ではありません。企業は自らが環境に及ぼす影響を理解し、抑え込むために努力し、最終的にはなくす必要があります。私たちは、デジタライゼーションがこのプロセスに貢献できると考えています。
私がEricsson Industry Lab所長のアンダース・エルランドソン(Anders Erlandsson)、上級研究員のパトリック・へドルンド(Patrik Hedlund)と共に最近行ったFuture of Enterprises研究では、企業がいくつかの分野で環境に及ぼす影響を削減し、ネットゼロへの旅に貢献できることがわかりました。ここではそのうちの二つ、すなわちエネルギー消費とリモートワークに焦点をあてて解説します。
エネルギー消費
私も他の多くの研究者と同様、データの伝送量の増加に伴ってデータセンターの電力消費が増え、環境に及ぼす影響も増大すると考えていました。ところが2005年~2015年の間にデータトラフィックは約30倍に増えた一方で、同時期の典型的なサーバーのエネルギー消費量あたりの演算能力は100倍向上していることを示すレポートを目にして、この考えが正しくないことがわかりました[2]。効率の改善が、結果としてデータ使用量の増加に伴う影響をうまく抑えていたのです。これは環境に及ぼす影響を効率的なソリューションで抑制できた例の一つです。
エネルギーの利用効率の改善がもたらす利益に加えて、エネルギーの供給源も重要です。これこそが、再生可能エネルギーが重要なソリューションと位置付けられている理由です。喜ばしいことに私たちのデータは、今回の調査対象企業の半数以上が、すでにそのエネルギー需要の多くを再生可能エネルギーで賄っていることを示しています。企業は2030年までにこの割合が四分の三近くにまで増加すると考えています。
私たちの調査では、全調査対象企業中で、脱物質化の取り組みにおいて高い達成度を報告している上位三分の一を、脱物質化のフロントランナーと定義しました。脱物質化とは、物理的な要素をデジタルで置換することです。以下の表は両グループの調査結果を示したものです。
図1. 意思決定者による2030年までの企業の再生可能エネルギー利用水準の予想
リモートワーク
私たちの調査に回答した企業は、2030年までに事務系業務のほぼ60%が企業の敷地外で行われるようになると考えており、さらに意思決定者の66%は、その時点で会議の大部分がバーチャルで行われるようになっていると確信しています。これらの予想の背景には、COVID-19によるパンデミック下で見られたように、ICTがリモートワークを可能にし、通勤とCO2排出の両方が減ったことがあると考えられます。
世界各地の意思決定者の60%が、リモートワークによって出張と通勤が減ったと報告しています。彼らはまた、交通手段がより効率的で環境に優しい方向へと進化することで、通勤が環境に与える影響も小さくなると予想しています。先述のとおり、再生可能エネルギーへの切り替えが進むことは持続可能な目標の達成においても重要です。
ただし再生可能エネルギーへの移行には特有の課題と障壁があり、意思決定者の四分の一は経済的な障壁がかなり大きいと考えています。また意思決定者の五分の一は、必要なテクノロジーの不足、移行へのインセンティブや減税が不十分であることが障壁になっていると述べています。従業員にサポートを提供している企業はこの移行を促進しており、現在すでに意思決定者の半数は、例えば自社の駐車場で再生可能エネルギーでEVを充電するなど、自社なりの対応方法に満足していると回答しています。
省エネルギーソリューションに関しては、クラウドテクノロジーにも注目しています。これは適切な方法で利用することで、エネルギー消費と環境への影響の両方を削減するもう一つの手段となる可能性があります。全体的に見て、ICT分野の意思決定者の80%は、マルチクラウドソリューションの利用が、2030年までに自社のIT環境だけでなく社会全体に大幅な省エネ効果をもたらすと予想しています。
私はまだ未来に不安や心配を感じてはいますが、その一方でリモートワークを実現し、より持続可能な世界への移行を促進するICT産業で働いていることを素晴らしいことだと感じています。ネットゼロの未来へと向かう旅はまだ始まったばかりですが、残された時間は本当にわずかです。持続可能でレジリエンスのある未来のためにテクノロジーを活用することは、私たち全員が担わなければならない明白な責任であり、企業とその従業員についても同様だと言えます。
さらに詳しく
脱物質化の未来が希求される理由についてはこちらをご覧ください。
テクノロジーがいかにして地球を救うかについてはこちらをご覧ください。
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