テクノロジーと変化する社会
テクノロジーが社会に与える影響について話すのであれば、私たちの生活に大きな影響を与えたCOVID-19のパンデミックに触れないわけにはいきません。全く新しい環境に放り込まれた世界中の人々は、全く新しい方法でそれに素早く適応することを迫られました。
家庭や職場のデジタライゼーションは、これまでにない速さで進みました。また世界各地で実行されたロックダウンにより、すべての人が接続性の重要性を身をもって体験することになりました。
ネットワーク上のトラフィックに大きな変動があったことがわかっています。私たちのポッドキャストのエピソード「Can we use AI to build the post-pandemic society?」にゲストとして登場したピーター・ローリン(Peter Laurin)によると、地方のトラフィックが増加し、ローミングは大幅にWi-Fiに代替され、長年減り続けていたボイスメッセージは、友人や家族が実際に会う代わりにデジタルな手段で連絡を取ろうとしたことで、再び人気となりました。他の人とつながるだけでなく、請求書の支払い、最新ニュースの入手、医療へのアクセスなど、日常生活を成り立たせる簡単な用事をこなす上で、安定したインターネット接続がどれほど重要なのかが証明されました。モバイルネットワークは、障害が許されないミッションクリティカルな存在になったのです。しかし接続が増え続ける通信業界において、デジタルファースト社会を実現しつつ増え続けるデータを処理できるよう、ネットワークを簡素化するには、いったいどうすればよいのでしょう。
AIと医療
最近エリクソンは医療分野で、地域のロックダウン対策に関わる匿名化されたネットワーク性能データなどの携帯電話機のデータを使い、ソーシャルディスタンシング対策研究のための調査を行いました。社会からどのようなパターンが生まれるのか。対策は果たして意図した効果をもたらすのか。これらはパンデミック発生以来、私たちが政府機関のために答を探してきた疑問の一部です。
また私たちは試験的な取り組みとして、AIを使ってスウェーデン西海岸最大の病院で集中治療に必要な病床数をトラックしました。医療分野には、今後数年間でAIの有用性を認められることが期待されている他の事例もあります。
感覚を拡張する能力は、AIが持つ独自の強みです。すでに私たちは、パンデミックの期間に遠隔医療が登場し成長する様子を見てきました。強化されたAIが医療分野でできることは、医師が見逃したり検出できない微細なレベルで、患者に見られる異常や懸念を発見することも含まれます。AIは、疾患の可能性がある皮膚の異常や、肺の問題に起因する呼吸パターンの不規則性を検出するのに役立つかもしれません。こうしたことにAIを活用できれば、医療へのアクセスを民主化できるはずです。これにはテクノロジーを活用してかさばるB2B機器を排除し、B2C分野に移行することも含まれます。
良い目的のためのテクノロジーの利用
COVID-19のパンデミックがデジタライゼ―ションを加速させたことは間違いありません。マッキンゼーによると、企業はパンデミックの最初の数ヶ月でデジタル技術の導入を3年前倒ししました。しかしAIのような高度な技術に関しては、これまでは特に職場への導入を恐れる傾向が見られました。一部の仕事が消滅し、それをAIが「引き継ぐ」のではないかという恐れです。
私たちは、AIの役割は究極的には業務を自動化し、仕事をより人間らしいものにすることだと考えています。AIは退屈な仕事が得意なので、私たちはこうした退屈な仕事から解放され、人間が得意とする創造的な作業により多くの時間を費やすことができるでしょう。
もちろん、テクノロジーに習熟した者によるAIの悪用が恐れられるのは当然でしょう。他の新しいテクノロジーと同様に、AIは社会にとって好ましい目的のために活用できる一方で、たとえば詐欺やパーソナライゼーションを通じて害を及ぼす可能性もあります。AIのシンギュラリティーももう一つの懸念事項です。この言葉は、AIが自己認識し、人間の介入を要せずに行動し始めるポイントを指します。規制と倫理的なAIは、EUやオーストラリア政府などによってすでに策定されている枠組みであり、急速に重要な焦点になりつつあります。しかし効果的な規制により、AIのユーザー体験を真に強化し、それを産業と社会制度全体に広げる機会は数多くあります。
スキルのインターネットへの道を拓く
ここエリクソンでは、新しいスキルを学ぶ方法を民主化する新しいインターネットを開拓しています。私たちはそれをスキルのインターネットと呼んでいます。すでに私たちは、世界中のどこにいても仕事ができることを知っていますが、まだ足りないものもあります。たとえば接触を通じてスキルを学ぶことです。スキルのインターネットは、インターネット接続を介して筋肉の動きと触感を伝えることができます。たとえば私は、学生の隣に置かれた外骨格装置にリモートで接続し、ピアノを教えることができます。医師であれば、患者に接続された低遅延の触覚装置を介して遠隔手術を行うことができるでしょう。学生たちは、パンデミック期間に経験したリモート授業よりもはるかに没入感のある全く新しいレベルで学ぶことができます。
AIが発展するにつれて、接続のない人々をつなぎ、デジタル格差を埋める方法にも期待が高まるでしょう。パンデミック後の世界では、誰もがアクセスできて、人々を結び、暮らしを豊かにする重要な社会基盤として、接続性の存在感が高まることは明らかです。これはまだほんの始まりに過ぎません。
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