5Gスタンドアローン時代を始動するためサービス運用の変革に注力するCSP

TMフォーラムでは、CSPの運用の将来的な構造のみならず、通信企業が将来に向かって辿らなくてはならない進化の道筋について考えることにも多くの時間を費やしています。CSP各社はそれぞれ異なりますが、私たちが協働しているすべてのメンバー企業が辿ってきた道のりには、いくつかの重要な真実があります。

ここでお話しするのは、CSPが新たなイノベーションの活力を得て新たな繁栄の時代を迎えるためには、サービス運用のITエコシステムを従来のOSS/BSSとは根本的に異なるものにする必要があるということです。ITの進化は長年にわたってTMフォーラム活動の中心にあり、その青写真とロードマップはよく理解されているため、このような言説自体はさして興味深いものではありません。面白いのは、CSPがこれまでとは異なる魅力的な方法で顧客にサービスを提供する能力において、ITトランスフォーメーションプロジェクトが市場に及ぼす影響が現れ始めていることです。

将来のCSPの構成要素

少し立ち止まって通信事業の新時代について考えてみましょう。ビジネスの多角化戦略は、新しい接続ソリューションを展開することによってのみ達成できることが明らかになっています。単純に言えば従来の通信サービスは規模の上限に達しているので、異なる運用プラットフォームを使って違う方法で新しいビジネスを生み出す必要があります。そのプラットフォームとなる構成要素は次のとおりです。

• 構成可能なプラグアンドプレイのオープンITアーキテクチャーによる完全に自動化されたサービス運用プロセス
• 自律的でプログラム可能なネットワーク運用
• 無線ユースケースにおける5G RANとエッジテクノロジー
• AIネイティブとクラウドネイティブのアプローチ

進化の観点から見ると、この次世代プラットフォームのネットワーク部分はよく理解されており、大量展開のモードに入っています。テクノロジースタックを上に移ると、CSPはITレイヤーの最新化、簡素化、自動化に対処するための取り組みを倍増させています。モバイルクラウドゲームはCSPが現在提供できないものの、近い将来大きな可能性があると見ているサービスですが、この例を見れば、その理由を簡単に理解できます

長年の野望の実現

スマートフォンやタブレットでコンソールのようなゲーム体験を提供することは、グラフィックチップをアップグレードしなくとも可能です。GPU機能をエッジクラウドで実行し、5Gネットワークスライス上で超低遅延接続でデバイスに送ることができます。ゲーム自体はゲーム開発者自身のクラウドインフラ上で実行し、ユーザー数によっては必要に応じて弾力的な容量と演算能力を利用することになるでしょう。CSPにとって複雑な部分は、ゲーマーがアプリを開いてゲームを開始するとネットワークスライスを立ち上げ、セッションが終了したときにネットワークスライスを閉じることです。

そのアクティビティに関連するすべての情報は、CSPのコア商用・運用ITシステムに保存されます。顧客とアプリケーションが要するスライス特性をネットワークに伝えるSLAから、バリューチェーン内のパートナーが受け取る収益の割合と、サービスに対して適切な料金を割り出し請求する方法を知っている収益管理までを考えてみましょう。すべてのデータを含むこのITエコシステムの中心を担うのは、サービスの実現を制御し、事前に合意されたQoSレベルでサービスを提供するネットワークの能力を監視するサービスオーケストレーションおよびアシュアランス機能です。

クラウドゲームの例では必要な5Gネットワークスライスは一時的で複雑なものですが、CSPがネットワークへの投資を適切に収益化できるありふれたユースケースは無数にあります。CSPはこのプラットフォームを使ってサービス運用のインテリジェンスとネットワーク運用機能を組み合わせ、顧客に対する新しいタイプの価値提案を推進できます。

新しい研究

TMフォーラムの新しい調査レポート「Closing the loop: CSPs aim to automate service orchestration and assurance」では、CSPの意思決定者を対象に、IT分野での進歩への期待と、5Gスタンドアローン時代に予想されるビジネスへの影響について、幅広い業界調査を実施しました。

参照情報

Service orchestration for better service quality

Closing the loop: CSPs aim to automate service orchestration and assurance

TM Forum case study: Telia transforms operations for end-to-end network slicing and assurance

Fuel innovation with service orchestration and assurance | LinkedIn.