まず、世界のモバイル加入契約数の動向に関して、特に5Gはこれまでのどの世代よりも急速に契約数が増加しており、2022 年末までには10億に達すると予測しています。その要因として、4G のときよりもスマートフォンなどで多種類の端末が市場に流通し急速に価格が下落したこと、中国で早期に大規模な導入が進んでいることなどが挙げられています。また、2027年には5G加入契約数が約44億で全モバイル加入契約の48%になるとしています。一方で、4G LTEの加入契約数のピークは2022年第4四半期で約50億となり、その後減少を続けて2027年には約35億になると予測しています。
世界のモバイルデータトラフィックですが、2021年始めから2022年始めまでで40%増加しており、過去2年間で倍増しています。データトラフィックの増加は、主にスマートフォンの加入契約数の増加と加入契約当たりのデータ通信量の増加からもたらされており、特に動画コンテンツの視聴の増加に起因しています。世界のスマートフォン1台当たりの平均データ量は2021年末で12GBとなっており、これが2022年末には15GB、更に2027年には40GBになると予測しています。図1に世界の地域毎のこの平均データ量の実績値と2027年までの予測を示しますが、平均データ量は国や地域によりかなり異なります。
図1 スマートフォン1台当りの地域別データ利用量
モバイルネットワークの無線アクセス回線を光回線などの有線の代替として利用して、家庭や小規模オフィスへブロードバンドを提供するFWA(Fixed Wireless Access)サービスについては、世界のモバイル通信事業者の75%以上、また全ての地域で50%以上の事業者が提供しています。その中で、最近は速度階層別で料金を変える事業者が出現し全体の21%に達しています。特に、5GでFWAを提供する事業者では35%が速度階層別料金を導入しており、今後増加する傾向にあります。2022年末には世界のFWA接続数は1億以上になります。また、2027年には2億3千万になりその中で5G利用が約半分になると予測しています。
メーターやセンサーなどをモバイルネットワークを用いて接続し、リモートで測定値や異常の発生情報を取得するセルラーIoT(Internet of Things)については、従来の2Gや3Gから4G LTEをベースとする方式に比重が移りつつあります。具体的には、セルラーLPWA(Low Power Wide Area、低消費電力で広域カバレッジ)と言われるCat-MやNB-IoT(Narrow-Band IoT)の接続数が急速に増加しており、2023年にはこれらが2G/3Gの接続数を上回ると予想しています。また、2027年にはセルラーLPWAに加えてブロードバンドやミッションクリティカルな産業向けIoT接続と、従来の2G/3GベースのIoT接続数の合計が約55億になると予測しています。
さて本号の特集記事としては、(1) 北欧の通信事業者テリア(Telia)におけるIoTの取組み、(2) アフリカ・中東の通信事業者MTNのネットワーク展開戦略、(3) 通信事業者のエッジコンピューティングのコストモデル、(4) 5Gネットワークにおけるセキュリティ確保、が含まれています。(1)については、電力ネットワークや公共交通においてセルラーLPWAを利用することで持続可能性に貢献する最新のユースケースが取り上げられています。
(3)では、通信事業者がユーザが利用する通信端末に近い場所にサーバを設置して端末から発生するデータを処理することで、低遅延や高信頼性、高セキュリティを確保するエッジコンピューティングのコストを分析しています。具体的には、①ユーザ(企業など)が自ら工場などにローカルサーバを設置して自営で運用する場合、②クラウド事業者のパブリッククラウドを利用する場合、③通信事業者がエッジサーバを設けて運用する場合、④「③」において電力効率を改善しコスト低下を図った場合、のコストをサーバ1台当たりに掛かる設備費と運用費の総和として比較しています。図2に示すように、④のエッジコンピューティングは②のパブリッククラウドを利用する場合とトータルコストに大差が無く、ビジネス的に十分成り立つとしています。
図2 エッジコンピューティングを含むサーバ当たりの総コスト比較
これら以外にも、5Gスタンドアローンの導入状況や通信事業者のブロードバンドサービスパッケージの動向など、興味深い記事が掲載されていますので、是非モビリティレポート本文にもアクセスして下さい。日本語のレポートはこのサイト「日本語レポート - Ericsson」から入手できます。