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[Japan CTO Talks] 6Gに対するエリクソンのビジョン パート1

5Gの導入、利用が世界的に広がるなかで、早くも次の世代のモバイル通信である6Gの検討が始まっています。6Gは文字通り5Gの次の世代のモバイル通信システムとして、2030年頃の導入が想定されています。ここでは、6Gに対するエリクソンのビジョンについて述べます。

チーフ・テクノロジー・オフィサー

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2030年頃の社会は、通信ネットワークが益々社会に不可欠なプラットフォームとして機能し、優れた技術を駆使していつでもどこでも今より高い性能の通信ができるようになることが期待されます。そのような社会の期待という観点で、6Gに向けて以下のような牽引力が働くと考えられます。

・信頼性:移動通信の社会的役割が増大するにつれ、やりとりされるデータ及び通信接続自体の信頼性がさらに重要になります。重要通信における情報のインテグリティの確保も含めて、社会が全面的に依存できるネットワークが期待されます。

・持続可能な社会:社会の全ての活動は、国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に向けて取り組む必要があります。そのような観点からモバイル通信はすでに重要な役割を果たしていますが、社会資源の有効利用の促進、様々な産業界での省エネツールとしての貢献をさらに加速することが期待されます。

・既存及び新規アプリからの要件のサポート:VR、AR、MRや精密機器の遠隔制御など、5Gで立ち上がりつつある要件の厳しいアプリの利用がより本格的になると想定され、超低遅延や超高速通信が必要となります。2030年に向け更に厳しい要件がネットワークに課され、これに応えることが期待されます。

・自動化、単純化:AIを使用することで、人間の関わりなしに多くのプロセスが自動化されると想定されます。AIによる様々なデータ処理により、社会活動の最適化、我々の生活の単純化が期待されます。そのため、ネットワークはAIが大量データを使用できる基盤を提供する必要があります。

これらに加えて、6Gにはネットワーク展開、運用コストを十分に抑えて経済的にシステムを構築できることが期待されます。

このような社会のニーズ、期待に応えるため、図1に示すように6Gは5Gで想定されている利用シナリオを拡張していく必要があります。よく知られているように、5Gではスマートフォンアプリなど人が使うモバイルブロードバンドの高度化(eMBB= enhanced Mobile Broadband)、メーターやセンサーなど大量のデバイスを利用するIoT(mMTC=massive Machine Type Communications)に、工場での機械の制御や遠隔手術のようなミッションクリティカルなIoT(URLLC=Ultra-Reliable & Low Latency Communications)が利用シナリオとして想定されています。また検討が始まった5G-Advancedでは、メタバースのサポートやAIの利用といった観点から5Gの機能が拡張されることが期待されています。

6Gは5Gの技術的限界を超えて、更なるミッションクリティカルなサービス、XRやホログラムのような没入型通信、どこにでもセンサー等を配備することが可能なIoTをサポートすることが期待されます。さらに、ネットワークとコンピューティングやAI機能の統合、空の上や海上・海中、宇宙などあらゆる場所でのブロードバンド通信、空間データやタイミングデータなどのセンシングにより通信を超えた機能など、新しい利用シナリオを想定することになると考えられます。

更に、将来の社会のニーズに応えるため、6Gでは図2に示すようにモバイルネットワークの概念に対する大きなパラダイムシフトが期待されます。

・安全な通信から信頼できるプラットフォームへ:単なるデータの保護ではなく、想定する利用シナリオでのエンドツーエンドの確実で安定したサービスの提供までスコープを拡大

・データ管理からデータに対する当事者責任へ:第三者に対する個人情報および重要なデジタル資産の管理とプライバシー保護を保証

・省エネから持続可能な変革へ:デジタル化を通じてCO2排出量の削減を可能にし、様々な産業界を含めて資源効率の高い社会の実現に寄与するネットワークの構築

・陸上の2Dからグローバルな3D接続へ:100%のデジタルインクルージョンを目指し、ルーラルエリア、海、空域や宇宙でも必要十分なコネクティビティを実現

・管理されたネットワークから自己学習するネットワークへ:運用者がネットワークの制御を行う形態から、ネットワーク全体に配備されたインテリジェンスとデータを使用して、自動運用する形態に移行

・事前設定されたサービスからユーザニーズに応じて柔軟に設定へ:サービスやインタフェースを事前定義するのではなく、ユーザのニーズに適応し、アプリケーション側から柔軟に機能を設定できるネットワークを実現

・物理空間とサイバー空間が分かれている世界からサイバーフィジカル連続体へ:ネットワークプラットフォームは人間と機械などを接続するだけでなく、現実の世界をサイバー空間に取り込んで、これらの間のシームレスな相互作用と没入型の体験を可能にする

・データリンクから通信を超えたサービスまで:ネットワークの役割を多用途の情報プラットフォームとして、幅広い目的を満たすサービスを提供できるように拡張

エリクソンとしては、このようなパラダイムシフトを具現化するために、今後必要な技術の研究開発、標準化を国際間で様々な企業と連携しながら進めていこうと考えています。

図1 6Gに向けた利用シナリオの拡張

図2 6Gにおけるパラダイムシフト

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