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[Japan CTO Talks] 6Gに対するエリクソンのビジョン パート2

5Gの導入、利用が世界的に広がるなかで、早くも次の世代のモバイル通信である6Gの検討が始まっています。6Gは文字通り5Gの次の世代のモバイル通信システムとして、2030年頃の導入が想定されています。ここでは、6Gに対するエリクソンのビジョンについて述べます。

チーフ・テクノロジー・オフィサー

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パート1では、6Gに向けて社会的にどのような牽引力が働くか、またモバイルネットワークに想定されるパラダイムシフトについて述べました。今回は、多様なユースケースをサポートするための6Gへの要求条件と、6Gを支えることが期待される幾つかの技術分野について概説します。

6Gが広範囲に亘って進化するユースケースのプラットフォームとしての役割を果たすには、現在のネットワークと比較してさまざまな次元で高度化する必要があります。これには図3に示すように、5Gの延長線上の機能・能力の進化と、新しい機能や従来と次元が異なる機能・能力が含まれます。

まず、5Gの更なる進化に相当するものとして、以下のような項目があります。

  • 通信速度:全シナリオで要求を上回る速度、特定シナリオで数百Gbpsの極度に高い速度
  • 遅延:特定シナリオで1ms以下、エンド・ツー・エンドの遅延が予測可能
  • 測位:特定シナリオで1cm以下の超高精度の測位
  • トラフィック容量:構築・運用コストを変えずに、数百Mbps/m2といった大量トラフィックを疎通
  • カバレッジ:シームレスなモビリティを確保した上で100%どこでもカバー
  • 消費電力:ビット当りのエネルギー消費を大幅に削減、負荷が無い場合は消費電力ゼロ

6Gでの新要件、従来と次元が異なる機能・能力としては以下のような項目が挙げられます。

  • セキュリティ/プライバシー:エンド・エンドのセキュリティ保証、システム内処理中・保存データの保護
  • 膨大なデバイス数・種類:自動接続、ゼロコスト/ゼロエネルギー、再生デバイスのサポート
  • センサー機能:ネットワーク機能、無線を利用した詳細な環境センシング
  • 展開の柔軟性:用途に応じたダイナミックなネットワーク展開、スペクトルの柔軟な利用
  • 高信頼コンピュート:ネットワークとコンピューティングの一体化、エンド・エンド性能保証
  • サービス多様性:AIによる自動化などで新規サービスの迅速な導入、低コストで多様なサービス実現
  • サービスアベイラビリティ:自然災害、社会・インフラ攪乱、悪意ある攻撃に対する回復力と安定性能

これらの要求条件を満足するためには、様々な技術が必要となりますが、以下図4に示す特に重要となる技術分野について述べます。

  • コネクティビティにおける制約を除去する技術

想定するアプリケーション、利用デバイス、ユーザに対して要求条件を的確に理解し、コネクティビティが制約とならないように、適応性が高いネットワークを構築することが求められます。産業利用を含むあらゆる6Gユースケースに対して、いつでも、どこでも必要なコネクティビティを提供できる技術が必要となります。

従来のネットワーク形態に加えて、アドホックネットワーク、テンポラリーネットワーク、ユーザー所有ネットワーク、非地上系ネットワークを含めて総合的に利用することが課題となります。ユーザへのアクセスで利用している無線を、バックホールにも利用するマルチホップによる動的ネットワークの展開も期待されます。また、分散アンテナによる、柔軟性、拡張性、信頼性に優れたユーザアクセスも重要な技術です。

  • 超高信頼システムを実現する技術

6Gとして、システム開発、導入、運用を通して常時安定に稼働する信頼性、超高アベイラビリティ、堅牢なセキュリティとプライバシー保護、更にクリティカルなユースケースに対しても性能保証を担保するネットワークプラットフォームが求められます。

超高信頼システムの実現に向けてキーとなる技術として、処理中およびストレジ内のデータ保護のためのコンフィデンシャルコンピューティング、転送中のデータを保護するセキュアIDとプロトコル、セキュリティ保証と防御などが挙げられます。脅威の検出、リスク管理、攻撃やかく乱に対する時宜を得た対応など、自動的なネットワークの防御や復旧を行うためにAI機能を組み込む必要があると想定されます。

  • 完全自動運用ネットワークを実現する技術

AIを用いたリアルタイムのデータ分析に基づき継続的に自己学習、自己最適化、自動構成することにより、人手を介さずに完全自動運用が行えるネットワークの実現が期待されます。各サービスの要求条件について、例えば「99%の確率で20ミリ秒以下の遅延を実現」など、フォーマルな形式でネットワークに伝達し、AIが自動的に様々なパラメータを設定して所望のサービスを提供すること、また、サービス提供中の性能を監視し、必要があればリソースの再配分などを行うことが想定されます。

AIが正しい判断をしているかどうかを運用者がチェックするためには、判断過程の透明性が重要となります。そこで、ブラックボックスではなく推論過程が説明可能なAIが求められます。ときに人が介入して修正することも必要ですが、長期的にはその頻度を少なくして完全自動運転を行うことが目標となります。

  • インターネット、クラウド、コンテンツと融合する技術

6Gで想定されるリアルタイム空間マッピングやAIマシン間通信などの要件の厳しいユースケースを実現するには、通信とインターネット、IT及びメディアの融合が必要となります。この融合においてはデジタルツインが基本となり、6Gはサイバー空間と物理空間の間を接続するだけではなく、サイバーフィジカルシステムのリアルタイム制御を行うプラットフォームとして機能することが期待されます。

多くのユースケースで低遅延、高速通信、超高信頼でのリアルタイム処理が要求されることから、計算処理機能やストレジを分散させて必要なところでローカルに処理ができるようにし、これとネットワークを一体化するアーキテクチャの実現が期待されます。また、データが発生するところで処理を行う超分散エッジコンピューティングと、必要に応じてアプリケーションからハードウェアアクセラレータに直接アクセスできる仕組みにより、アプリケーションに対するエンド・ツー・エンドの性能を保証する技術が重要となります。

これらの技術の上に6Gの基盤が構築され、あらゆる産業界やライフスタイルのイノベーションに必要なプラットフォームとして、社会の情報バックボーンとなることが期待されます。

6Gの要求条件

図3 6Gの要求条件

 6Gで重要な技術分野

図4  6Gで重要な技術分野

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