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5G、AI、デジタル化が牽引するエネルギーの未来

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本資料は20251111日に発表された報道資料の抄訳です。

  • 国連気候変動枠組条約(COP)では、デジタル化、AI、スマートグリッドが、再生可能エネルギーや電化された産業への移行をどのように推進しているかが強調されます。
  • 省エネルギー型データセンターや5G SA(スタンドアロン)ネットワークは、低炭素型エネルギーシステムの実現に不可欠です。

Director Sustainability Policy

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デジタル化は、よりクリーンでスマート、そしてレジリエントなエネルギーシステムへの世界的な転換を可能にする、最も強力な推進力の一つです。しかし、今日の電力系統は再生可能エネルギーを前提に構築されたものではなく、石炭火力発電所のような、より少数で集中した電源に基づいて設計されてきました。再生可能エネルギーは地域に分散していることが多く、発電量も時間とともに変動するため、予測が大きな課題となります。

脱炭素化と化石燃料の段階的廃止を実現するには、重工業や輸送セクターを電化する必要があります。また、再生可能エネルギーなどのクリーンな発電源からより多くの電力を供給し、化石燃料由来の電力を排除する必要があります。

そのため、電力グリッドおよび電力セクター全体のデジタル化は、制御メカニズムを構築し、グリッド運用を最適化するうえで不可欠であり、こうしたグリーンなエネルギー目標を支える基盤となります。また、すべての需要家をデジタル化し、需要家・配電事業者・発電事業者の間でデータ共有を拡大すれば、真のデジタル・エネルギー・エコシステムを構築できます。

多くの点で、これは通信分野で私たちがすでに実践していることです。ネットワーク運用を最適化するためにトラフィックを予測するように、電力グリッドにも同様のデジタル化が必要であり、その鍵となるのはデータです。そして、電力グリッドから必要かつ適切な量のデータを収集するには、先進的な接続性と人工知能(AI)が不可欠です。

しかし近年では、AIの急速な普及や、これに伴うデータセンターの拡張によって、情報通信技術(ICT)セクター全体の電力消費量が総消費量の大きな割合を占めるようになるのではないかという懸念も広がっています。そこで、エリクソンではICTセクター、AI、データセンターの電力消費に関する広範な調査を実施し、事実に基づいた数字を示しています。

世界のリーダーたちがブラジルに集まり最新のCOP会合を行うなか、エネルギー・製造・輸送セクターの移行と脱炭素化、そして再生可能エネルギー導入の役割が主要な優先事項となります。各国は2025年から2035年に向けたパリ協定達成のための気候行動計画「国別貢献(NDC)」を提示し、今後数年間の気候移行のペースが定められます。

デジタル化はエネルギー消費をさらに増やしますか?

デジタル化がもたらす真のエネルギー影響を理解することは、政策決定や投資判断において不可欠です。デジタル化が指数関数的に加速するなか、ICTセクター、特に通信ネットワークとデータセンターが消費する電力はさらに増加すると予想されます。しかし、この増加は多くの報告が示唆するほど大きくはない可能性が高いです。一方で、AIサービスや技術がどれほど速く進化するかは依然として不確実です。

振り返ると、多くのICT関連の予測は将来の電力使用量を過大に見積もってきました。その理由は、データ量が増加すれば、それに比例してデータ伝送や処理に必要な電力も増えると仮定していたためです。しかしエリクソンの調査によれば、2007年から2023年にかけて、総データトラフィックは約80倍に増加した一方、ICTセクターが使用した電力はわずか1.4倍しか増加していません。つまり、データ伝送量と電力使用量は明確に比例していないことが分かります。

エリクソンでは、2030年までのICTセクターの推定電力使用量と潜在的なカーボンフットプリントも算出しています。ICT全体の電力消費量は、2024年の約1,070TWhから着実に増加し、2030年には約1,245TWhに達すると見込まれています。近年、この増加の主因はデータセンターにあり、ネットワークによる増加は比較的小さいです。

AIはどれほどの電力を消費しますか?

AIのエネルギー需要は頻繁に議論の対象となっています。現行のAIシステムは学習に多くの電力を必要とし、より強力なハードウェアが求められています。しかし、AIサービスや技術がどのように進化するか、またどれほどエネルギー効率が向上するかを予測するのは難しいです。

それでも、AIのエネルギー需要が大きい一方で、「電力使用量が指数関数的に増大する」という懸念は、AIのエネルギー効率向上によって一定程度抑制されています。エリクソンの推計によれば、2023年末時点で約1,200万台のAI GPUが稼働しており、約21TWhを消費しています。これはデータセンター全体の電力需要の約8%、ICT全体の1%未満に相当します。2028年には、AIだけでデータセンター電力使用量の約25%を占めると予測されています。これは、データセンターのエネルギー効率向上を優先すべきことを示しています。

こうした上昇傾向が続くとしても、AIハードウェアの供給制約が電力使用量の指数関数的な増大を防ぎます。また、AIチップやその他のエネルギー関連機器は効率化が進んでおり、新世代のネットワークシステム標準にはAIやエネルギー効率に関する対応が組み込まれつつあります。さらに、よりエネルギー効率の高いネットワークやサーバーシステムの導入によって、古く非効率的な技術の廃止が進みます。

最後に、AIの電力需要予測の信頼性を評価する必要があります。国際エネルギー機関(IEA)によれば、AI関連チップは3年ごとに効率を倍増させており、現在のモデルは2008年の同等チップと比較して同じ計算を99%少ない電力で実行できるとされています。またIEAは、2030年までにサーバーやAI GPUに、より高効率のプロセッサが市場に投入されると予測しています。

エネルギー消費に関しては、ChatGPTGoogle Geminiのような生成AI(大規模言語モデル:LLM)と、特定の用途に特化したAIサービスとでは大きな違いがあります。生成AIは大規模なデータセットで学習するため膨大なエネルギーを必要としますが、特定用途向けモデルは小規模データで学習できるためエネルギー負荷が小さく、よりエネルギー効率の高いAIとなります。

ヨーロッパのエネルギーセクターを例に考えてみます。電力会社は、グリッド管理・制御のために軽量でエネルギー効率の高いAIを必要としており、生成AIのような膨大な計算能力に依存せず、エッジコンピューティングやローカルデータセンターで運用できます。また、通信ネットワークのネットワーク制御でも同様の機械学習アルゴリズムが使用されており、LLMよりもはるかに少ない電力で実行されます。

5G SA重要な理由

デジタル化関連の投資や今後の規制政策に関する判断は、正確な情報と前提条件に基づいて行われる必要があります。ICTセクターの電力消費は、電力会社や政府が考慮すべき重要な視点であり、信頼できる予測は意思決定の重要な基盤となります。これらの選択は、エネルギーセクターのデジタルトランスフォーメーションの成否を左右します。

前述のとおり、エネルギーシステムの最適化や、AIによるグリッド制御・管理を実現するには、必要なデータを取得することが不可欠です。こうしたエネルギー関連データは、需要家・配電事業者・発電事業者間で流通する必要があり、たとえば予測、グリッド管理、フレキシビリティソリューションなどを提供することにつながります。

このデータ取得を支える鍵となるのが接続性であり、ここで5G SAが非常に重要になります。NSA(ノンスタンドアロン)方式では、基地局などの無線部分は5Gである一方、コアは4G技術に依存しているため、4Gより高速・広帯域ではあるものの、5G本来の利点を十分に発揮できません。

これに対し5G SAは、5G基地局と5Gコアを組み合わせることで、速度と帯域幅を向上させるだけでなく、エネルギーセクターのデジタル変革や将来のデジタルエコシステムの構築に不可欠な、ネットワークスライシング、エッジコンピューティング、5G VoiceRedCap、タイムクリティカル通信(TCC)、ネットワークエクスポージャ、強化型固定無線アクセス(FWA)などの高度なサービスをサポートします。

この意味で5G SAは、単なる接続性のアップグレードではなく、世界的なエネルギー転換を支える基盤技術です。

結論

COP30を機に、多くの人々が「エネルギーとAI」を最重要テーマとして認識するようになっています。実際、開催国ブラジルは再生可能エネルギーを中心としたエネルギーシステムを強みとして、国内にデータセンターを誘致する好機と捉えています。これは、ユーティリティ、電力グリッド、輸送システム、建築物、産業のグリーン移行を支えるうえで、接続性とデジタルソリューションが果たす重要な役割を示しています。

化石燃料由来のエネルギー源の廃止と脱炭素社会の実現には、デジタルインフラの優先的な整備が必要です。また、これらの技術が最大限の価値を発揮するには、長期的で安定した政策枠組みが重要であり、大規模投資やイノベーションに必要な確実性を提供します。さらに、テクノロジーセクターは、省エネルギー型データセンターやAIソリューション、エネルギー効率の高いネットワークアーキテクチャの開発を継続し、バリューチェーン全体でネットゼロへの取り組みを推進し、排出量削減を図らなければなりません。

デジタル技術と接続性は、クリーン技術、電力グリッド、再生可能エネルギーと並ぶ「柱」として位置づけられるべきです。効率的なデータセンター、責任あるAIの電力使用、大規模な再生可能エネルギー導入を実現できるのは、接続性とデジタル化によってこそです。言い換えれば、デジタル化はエネルギー転換の「副産物」ではなく、その「中核」です。

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