主な知見
インテリジェントなデバイスのクラウドベース処理への依存が高まるにつれて、かつてないほどのデータがアップリンクへ流れています。この変化は単なるアップリンク需要の急増にとどまらず複雑です。 AV/AR グラスなどの AI 駆動のシステムは継続的にデータをクラウドに送信しますが、端末内のインテリジェンス、圧縮、スマートデータ伝送の進歩により、データの送出方法やタイミングが変化しつつあります。その結果ネットワークは高まるリアルタイムなクラウド需要と、帯域幅利用を持続可能に保つための効率性の両立をサポートする必要があるため、動的なバランスが生じています。この相互作用を理解することは、コネクテッド・インテリジェンスの次の波に備えるための鍵となります。
図 23: アップリンクトラフィックの将来の推進要因

現在の AI グラスのアップリンク要件
米国では現在までに大手メーカーのスマートグラスが約 200 万台販売されています。市場浸透率は約1% に達し、今後は年間数百万台を販売するという目標が掲げられています。これらの販売を後押ししている成功要因は、グラスからの映像と音声の入力に基づいて没入的な体験を提供する AI エージェントにユーザーを接続することにあります。
今後一部のモデルでは、グラス自体またはテザリングしたデバイスで AI 機能が搭載、及び使用される見込みです。ただし高度な AI 機能はクラウドで実行する必要があるため、モデルの推論遅延を短く抑える必要がある場合は、アップリンク側のネットワーク特性が重要になります。
最近発表されたスマートグラスモデルの動画キャプチャ解像度は、 1,440×1,920 ピクセルとされています。マルチモーダル AI によるオンデマンド型のインタラクションでは、通常利用時に 5 〜 10 FPS ( Frames Per Second )のフレームレートが必要です。一方、常時稼働型のエージェントは、 5〜10 秒ごとに 1 フレームなど、より低く動的に変化するフレームレートを用いる可能性があります。オンデマンド型 AI エージェントでは、圧縮率が約 0.1 bpp ( bits per pixel )の動画コーデックを用いることが可能です。指定の解像度と 5 FPS のフレームレートの場合、アップリンクで約 1.4 Mbps をもたらします。これらの AI エージェントのユーザーのうち約 20% を1日 100 分の「パワーユーザー」、残りの 80% を1日 10 分の「一般ユーザー」と仮定すると、平均利用時間は 1 日 28 分となります。
常時稼働型の AI エージェントは、約 0.5 bpp の画像圧縮を用いる必要があります。指定のされた解像度と約 0.1 FPSのフレームレートでは、約 0.14 Mbps をもたらします。この場合、 AI エージェントが 1 日約 8 時間稼働していることが想定されます。
現在、世界平均のベースラインである月間約 2 GB に対するアップリンクの割合の増加を図 24 に示します。これらの前提の下でユーザーごとに見ると、常時稼働型 AI のエージェントはオンデマンド型 AI エージェントよりもアップリンクトラフィックをわずかに多く発生させます。デバイスの浸透率については、図 24 の x 軸の値で示されている通り、常時稼働型の AI エージェントを選好するユーザーと、オンデマンドを選好するユーザーが混在します。したがって、将来の需要はこれら 2 つの曲線の間の範囲に収まると見込まれます。アップリンクにおけるトラフィック増加の潜在性は、ネットワーク容量計画、スペクトル割り当て、 RAN 機能の強化の重要性を改めて強調します。
図24: 今日のアップリンクベースラインと AI/AR グラスの普及率から見たアップリンクトラフィックの増加
将来の需要は、オンデマンド型AIエージェントと常時稼働型AIエージェントの間のどこかに位置することになる