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デジタル・デバイドを埋めるために人材を活用する

デジタル・デバイドを埋めるために人材を活用する

包括的なデジタルの未来では、コネクティビティが地域社会に新たな可能性をもたらす。

デジタル・デバイドを埋めるために人材を活用する

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社会の活性化と人々にもたらす力:デジタルな分断とはどのようなもので、インクルーシブな未来とはどのようなものか?

つながりのない世界がどのようなものか、想像したことはありますか。

接続性は、何十億もの人々にワクワクする体験をもたらし、日常のタスクを支えるテクノロジーです。接続されていれば、どこにいても医師の診察を受け、いつでも教育の機会を得ることができます。

新型コロナウイルスの大流行以降、このような通信技術への依存が当たり前となりました。もしパンデミックの発生が2000年に起きていたなら、インターネットにアクセスできたのは世界の人口のわずか6.7% だけだったでしょう。リモートワークもリモート授業もない、完全に停止した状態を想像できるでしょうか。

では拡大するデジタルインフラからいまだ切り離されたままでいる、何百万もの人々はどうなっているのでしょうか。デジタル格差を被っている人々は、急速にデジタル化していく世界の中で、いまだに日々苦闘しています。

デジタル格差には収入、年齢、物理的なアクセスなどたくさんの要因が関係しますが、最も大きな要因は住んでいる場所です。ITU(International Telecommunication Union)は、世界全体のインターネット利用者は都市部では82%なのに対し、農村部では46%しかいないと指摘しています。

では何がそれを解決するのでしょうか。オハイオ州のFWA(Fixed Wireless Access)であれ、インドのデジタル化であれ、家庭内医療といった将来のシナリオであれ、世界の接続性の基盤はネットワークによって確立されます。

つながりのない世界がどのようなものか、想像したことはありますか。

「有意義で普遍的な接続性とは、地理的な場所、社会経済的な地位、人種、性別、その他の人口統計学的違いに関係なく、誰でも、どこでも、手頃な料金でサービスやデバイスを利用して、信頼性が高く安全なインターネットに接続できることを意味する。」 - ブロードバンド委員会

普遍的な接続性は、情報、機会、サービスへの平等なアクセスを実現することで、不平等を減らし、社会から疎外されたコミュニティが成長・発展するための新たな可能性を解き放ちます。エリクソンの調査によると、モバイルブロードバンドの普及率が10%増加すると、経済成長率(GDP)は最大0.8%増加し、その効果は低所得国で著しく大きくなります。

FWAのようなソリューションの導入で、サービスが行き届いていない地域の接続性を大幅に改善できます。 また、端末や契約料金を手ごろな価格に抑えて利用格差を解消し、必須のデジタルツールの導入やデジタルスキルの向上を促すことも重要です。これらはこれまでに大きな成果を挙げることができましたが、まだやるべきことは数多くあります。

 

真に一つになる合衆国 – 農村コミュニティの活性化

オハイオ州は、クリーブランド、シンシナティ、コロンバスといった大都市で知られていますが、農村地域も大きく広がっており、その多くはブロードバンドアクセスがないまま放置されています。2019年、オハイオ州の農村部に住む人々の48.7%が、ブロードバンドインターネットにアクセスできていませんでした。つまり約60万7,000人もの人々が自宅でブロードバンドインターネットを利用できていなかったことになります。 

州内の農村地域にブロードバンドを敷設する通信企業「OhioTT」の取締役会長であるミーガン・クヴァム(Megan Kvamme)氏は、これを何とかしたいと考えました。OhioTTはWinncom Technologiesと提携し、Ericsson Massive MIMO技術をベースにFWA (Fixed Wireless Access)ソリューションを設計・提供しました。

 

 

真に一つになる合衆国 – 農村コミュニティの活性化

「新型コロナの大流行中、子供たちが大勢乗った車が駐車場に停まっているのをよく見かけました。聞けば、自宅からアクセスできないため、車から授業を受けようとしている子供たちだったのです。そしてそれが、どうすればこの問題を解決できるかという話し合いの始まりでした。人はこのような生活はできません。教育が必要です。遠隔医療が必要です。そして互いにつながることが必要なのです」

FWAは4Gと5Gのネットワークを使い、固定された場所にブロードバンドサービスを提供します。1本の電波塔で、カバレッジ内の数百軒の住宅に接続することができます。FWAのおかげでOhio TTは、これまで他に有効な接続オプションがなかった地域にブロードバンドを提供できるようになりました。

固定無線サービスは、5Gが5G Advanced、6Gへと進化するにつれて進化していくでしょう。新しい周波数帯域のおかげで大容量が可能になり、新しい技術によって信号の範囲が広がります。これは5Gミリ波の拡張範囲ですでに確認されています。このレンジ拡張技術により、ミリ波信号のサービス可能範囲は数百メートルから7 km以上に拡大されました。これにより、ハイエンドの光ファイバーのようなサービスが電波塔からさらに遠くまで届くようになり、サービスが行き渡っていなかったり、それが存在しなかったりした地域にも届くようになります。

既存のインフラの改善により、固定無線アクセス(FWA)の範囲を拡大し、より多くの家庭にデジタルサービスを提供することができます。さらに遠くまで到達し、モバイルサービスをサポートするためには、衛星通信を5Gや6Gネットワークに統合することが強力な補完手段となるでしょう。

時間をかけて、すべての人をつなぐ

都市や人口密集地は、多くの場合、広範な接続性の恩恵を最初に受ける場になります。

現在では、拡張モバイル・ブロードバンド(eMBB)や固定ワイヤレス・アクセス(FWA)のようなソリューションにより、農村部の人々も重要な接続性を利用できるようになりました。

将来的には、衛星に接続されたスマートフォンがあれば、水上や山脈のような極端に離れた場所にいる人々でさえも接続できるようになるでしょう。

クヴァム氏の言葉を借りるなら、無線とは「接続のモザイクの一部」です。彼女は、接続されていない地域を接続する際の協力の重要性を強調しています。地方自治体やテクノロジー企業との協力、そして最も重要なこととして、普段話すことのない接続されていない地域の人々との協力もこれに含まれます。

「最も重要なのは、ピアノのレッスンを時間通りに受けられるようになった少女や、遠く離れて暮らす赤ちゃんに会えるようになった祖父母から聞く喜びの声です。」

Megan Kvamme, OhioTT執行委員長

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接続された人々は、結果的に行政サービス、医療、雇用機会、教育などにアクセスできるようになります。さらに企業も成長し、その周辺の地域社会が繁栄して、すべての人々の生活水準が向上するという好影響をもたらします。

クヴァム氏は、Ohio TTでの仕事は気持ちの面で報われると言います。

「ペリー郡で最初に住民の接続を始めたとき、それは単に電気をつけたようなものとは違いました。活気が地域中を駆け巡っているのが感じられました。住民たちは、長い間待ち望み、必要としていたものにアクセスできるようになったのです。それを契機にして、オハイオの田舎町の人々は突然、可能性というものを信じるようになったのです」

インドの取り組み

オハイオ州から遠く離れたインドでは、急速な5Gインフラ整備によって勢いづいたデジタルトランスフォーメーションが急激に進行しています。この変革は主に、オープンAPIを基盤とするデジタルインフラのフレームワークである「India Stack」と、さまざまなアプリケーションが相互に通信できるようにするルールやコードのセット、インド国民が身分証明書、電子決済、書類確認などのサービスをデジタルで利用できるようにするデジタル公共財がベースとなっています。これらの進歩は、新たなビジネスの増加や既存ビジネスの成長を通じて、地域経済を活性化させます。

UPI(Unified Payment Interface)などのAPIは、すでにインドに暮らす何百万人もの人々の支払いや送金の方法を一変させました。UPIによる取引は個人だけではなく以前は接続されていなかった小規模企業によっても行われ、その件数は2022年だけで740億5,000万件に上りました。

インドの農村部では、マンゴー農家が新鮮なマンゴーを収穫し、道端で通勤客に現金でのやり取りをせず、直接販売できるようになりました。このような手軽でシンプルな販売は、物理的に金銭を管理するという時間のかかる作業をなくすことで、生産性と利益率を高めます。

インド経済のデジタル化はまた、活気あるスタートアップ文化を生み出しました。スリラム・PH(Sriram P H)氏は、AIスタートアップ企業DaveAIの共同設立者兼CEOです。DaveAIは、デジタルアバターやインタラクティブなAR・VR(Virtual Reality)体験を提供し、実店舗に来ない潜在顧客に商品を紹介・販売する支援をしています。

インドの取り組み

DaveAIが遠隔地の人々を支援

DaveAIは、たとえば遠隔地の人々が、その地域にショールームがないにもかかわらず、人生の大きな買い物である自動車などの商品を見たり購入したりする支援をすることで、人々の時間と旅費を節約します。

そのメリットは顧客だけでなく従業員にも及びます。スリラム氏は、インドの都市部周縁をつなぐことで、テクノロジーを基盤とした雇用機会が増えたと考えています。その結果、商品やサービスに費やす可処分所得を持つ中産階級の人口が増え、発展しました。技術ベースのエコシステムの繁栄は、さらに多くのスタートアップ企業を生み出し、このような地域でさらに多くの人々を雇用する原動力となります。

スリラム氏は次のように述べています。「DaveAIは現在、デジタル化に特化した72人のチームで、主にリモートで活動しています。本社はバンガロールにありますが、インドの18から20の都市に従業員がおり、アフリカやインドネシアで働く人もいます」。

2017年から2018年にかけてのスマートフォンの流入がインドの消費者層を変えました。今や人口の半数以上がスマートフォンを持っています。

Sriram P H,DaveAI共同設立者兼CEO

4Gの普及はインドにおけるデジタルブームの火付け役となりました。しかしまだ大きな格差が残っています。インドの電気通信規制庁 によると、2022年11月末時点で、都市部と農村部の無線加入者の割合はそれぞれ54.82%と45.18%であり、有線加入者は都市部92.44%に対して農村部7.56%となっています。成長が見られるとはいえ、人口の70%近くが農村部に住んでいる現状では、この数字は依然として深刻な格差の存在を示しています。

デジタル格差を解消するには、まさに時間が重要です。早急に対策を講じなければ、たとえば子供たちの全世代が数年間の重要な教育期を逃してしまいます。

5Gは、ルーラルエリア農村や遠隔地の家庭や村にブロードバンドを導入するカギとなるでしょう。GSMA Intelligenceの分析では、5Gは2023年から2040年の間にインド経済に全体で4,550億米ドル(36兆4,000億ルピー)の利益をもたらす可能性があるとしています。 起業家精神で知られるこの国は多くの可能性に満ちており、接続性を活用した創意工夫でリードする非常に明るい未来が待っているはずです。

FWAと5G: 可能性を引き出す

普遍的な接続が未来を切り開く

2030年に向けて、より高速で遅延が短く信頼性の高い未来のネットワークは、現在接続されていない地域で可能なことを拡大し続けるでしょう。人々はオンライン政府、交通機関、金融サービス、医療などへ、これまでよりもっと接続されるはずです。

経営コンサルティング会社アナリシスメイソンにエリクソンが委託した最近の調査では、15カ国の新興市場において、5G接続が経済、消費者、環境にもたらす潜在的なメリットを調べました。行政や政府の支援があれば、15カ国すべてで2035年までにGDP成長率が0.3~0.46%向上する可能性があります。これは大きな変革といえます。

テクノロジーが進歩するにつれ、その仕組みを理解することも不可欠になります。エリクソンのConnect to Learn教育プログラムで人気を集めているコースが、ブルガリアのソフィア工科大学で学生に5Gについて教える「Ericsson Educate: 5G University」です。このプログラムでは、5G RAN、クラウド、コア技術を含む5Gの包括的なコースを学士号と修士号の学生に教えています。

「このアカデミーのおかげで、当校の学生はブルガリアのみならず世界中のトップレベルのICT企業で働くことができるようになります。」

ソフィア工科大学電気通信学部副学部長 アガタ・マノロバ(Agata Manolova

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デジタル化は今後も社会のあらゆる側面を変革し続けるでしょう。エリクソンのヴィル・ソイントゥ(Ville Sointu)は最近のPerspectivesの記事で、インドを代表例として、いかに現金から脱却するかについて書いています。ソイントゥは、モバイル金融サービスの導入が、汚職の減少、納税者の増加、商取引の簡素化にいかに役立つかを調査しました。しかしデジタル金融サービスは、高度なネットワークだけが提供できる信頼性の高い接続性を必要とします。

医療もまたその一例です。たとえば、米国の人口の20%が農村部に居住していますが、そこで診療を行う医師はわずか11%しかいません。その一方でほとんどの地方の病院の収益の60%は、外来診療によるものなのです。遠隔医療の時代はもはや未来の話ではありません。今必要なのです。  

「人は、ひとたび機会、特に教育の機会を与えられれば、他人が評価するよりもずっとずっと賢いのです」。Cradlepointの上級エンジニアリングディレクター兼Next G Allianceの Green G及び SEN(Societal and Economic Needs)ワーキンググループ副議長、ミミ・タム(Mimi Tam)は言います。「彼らには素晴らしいことができるし、今日の大企業と同じレベルで競争できます。その結果はすべての人にとって良いものなのではないでしょうか」。

 

デジタル格差解消に必要な協力体制

デジタル格差の解消は、単体の課題ではなく、政府や企業が地域の課題や機会に対応しなければならない継続的な取り組みです。

各国は、接続性の野心的水準を可能な限り高く設定し、インドが5Gで行っているように、接続性を迅速かつ大規模に展開する必要があります。これは近年、世界の経済界からグローバルなリーダーたちに対して声高に叫ばれていることです。

エリクソンは、通信は人間の基本的ニーズであるという信念のもとに設立されました。エリクソンは145年以上にわたって普遍的な接続性に取り組んでおり、2030年までにそれをどこまで進められるかを見てみたいと思っています。

デジタルトランスフォーメーションは21世紀にとって、20世紀の電化と同じくらい大きな出来事です。デジタルの未来で、すべての人が完全につながったらどんなことが可能になるのでしょうか。

デジタルの未来で、すべての人が完全につながったらどんなことが可能になるのでしょうか。

What do you imagine to be possible once everyone becomes fully connected in our digital future?