G20への公開書簡:ユニバーサルな接続性を推進し、中小企業にも遅滞なくデジタル化を普及させるべき
20世紀に電化が世界を変えたように、21世紀はデジタル化が世界を変えつつあります。デジタル化は、持続可能な経済成長のグローバルなエンジンであり、気候変動との戦いの基本的な手段であり、ソーシャルインクルージョンの強力な実現者なのです。
しかしその進展は一様ではなく、その結果は重大なものです。ITUの最新報告書State of Broadband reportによると、推定で27億人がいまだに接続性を確保できていません。この課題に対処するためには、全世界規模の革新的な取り組みが必要です。これには世界の企業の約90%、世界のGDPの50%、全雇用の3分の2を占める中小零細企業への働きかけも含まれます。
中小零細企業は、COVID-19流行時にデジタル化に取り残されることが多くありました。中小零細企業によるデジタル技術の採用が拡大すれば、経済的利益とデジタル能力に対する需要増加の好循環が促進されます。
デジタルトランスフォーメーションとB20
主要19カ国と欧州連合が参加してインドネシアで開催されたG20サミットは、多くのグローバルな課題に対応するための重要な会合となりました。
2022年の年初にG20議長国に就任したインドネシア政府は、在任中の優先課題として、グローバル医療アーキテクチャー、持続可能なエネルギーへの移行、デジタルトランスフォーメーションの三つを掲げています。
過去3年間、私は世界の経済界を代表するグループ(B20)の中で、光栄にもDigitalization Taskforceの共同議長を務めてきました。インドネシアのバリ島で開催されたB20サミットでは世界の経済界の声として、G20首脳に具体的な推奨と政策を提言しました。
B20およびG20サミットに先立ち、100名以上の企業代表からなるこのタスクフォースは、G20各国政府に対する四つの主要な提言をまとめた政策文書を作成しました。タスクフォース共同議長のハンス=ポール・ビュルクナー(Hans-Paul Bürkner)氏は、エリクソンのミカエル・ベック(Mikael Bäck)との会話で、次のように語りました。
- ユニバーサルな接続性の推進
- 持続可能で強靭なデジタル経済基盤の構築
- 個人と中小零細企業のデジタル化対応マインドセットと、デジタルプラットフォームへの確実なアクセスの確保
- リスクとエビデンスに基づく、相互運用可能で技術的に中立なサイバーセキュリティ標準とベストプラクティスを推進し、企業のネットワーク保護への取り組みを支援
ユニバーサルな接続性は、近年の最優先事項であり、2022年のG20メンバーへの最初の、そして多くの点で基礎となる提言であることに変わりはありません。タスクフォースは各国政府に対し、公正な競争の促進、グローバルスタンダードの推進、ネットワーク導入障壁の撤廃など、民間企業のネットワーク拡大を優先するよう要請しています。
政府が勝者を選んだり、市場を歪めたりすることを避け、技術やベンダーの中立性が保たれて公平な競争があれば、投資、革新、協力に拍車がかかります。グローバルスタンダードは技術の規模、価格、相互運用性を実現する上で非常に重要なので、推進されるべきです。私たちが一台のスマートフォンを携えて世界中を旅することができるのは、標準規格のおかげです。また今日ではグローバルなエコシステムによって、インドネシアやインドで生まれたイノベーションが、数秒で世界中に展開されるようになっています。
東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシア政府は、国家のデジタルトランスフォーメーションを推進する戦略的指針として「Digital Indonesia Roadmap for 2021-2024」を取りまとめました。インドネシアのデジタルトランスフォーメーションを加速させ、経済成長を後押しするためには、電波の利用可能性が特に重要です。周波数の利用可能性の最大化も、タスクフォースがG20に対して導入障壁を取り除くために行った具体的な提案の一つです。
ユニバーサルな接続性の利点は、十分すぎるほど証明されています。デジタル技術は、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を最大15%削減できる可能性を秘めています。エリクソンがインペリアルカレッジロンドンと共同で行った調査では、モバイルブロードバンドの普及率が平均10%上昇すると、GDPが最大0.8%上昇し、その効果は低所得国で著しく大きくなることが示されています。
エリクソンが協賛したEIU(Economist Intelligence Unit)のレポートConnecting Learners:Narrowing the Educational Divideによれば、学校の接続性が10%向上するごとに、その国の一人当たりのGDPが1.1%増加する可能性があることが判明しました。
ITUは、2030年までに世界の接続のない人口に高品質のブロードバンドを提供するためには、10年間で4,280億ドルの追加投資が必要であると試算しています。
エリクソンでは、ユニセフとITUのGigaイニシアティブの支援を通じて、学校における接続のギャップを解消するための取り組みを行っています。Gigaは2030年までに世界中のすべての学校をインターネットに接続し、それによってすべての若者が情報、機会、選択肢にアクセスできるようにすることを目的としています。エリクソンは過去2年間、5,500校以上の学校と200万人以上の子どもや若者をインターネットに接続するために、Gigaを支援してきました。
中小零細企業への注力
インドネシアは今年、中小零細企業に焦点を当てました。ブロードバンド委員会が提唱する目標#6は、中小零細企業をオンラインに接続してその業績を向上させる必要性を強調しています。この目標は、2025年までに、接続されていない人の数を50%減らすことを目的としています。
中小零細企業は接続性に重要な問題を抱えることが多くあります。サイバーセキュリティの欠如は大きなリスクとなり、ネットワークは複雑すぎて管理できず、ITの内製化は予算をはるかに超えています。
中小零細企業によるデジタル技術の取り込みと利用は、特に発展途上国におけるインターネット経済全体の成長の度合いを左右します。たとえばアクセンチュアは、企業によるデジタル技術の利用度合いにもよりますが、2025年までにインターネット経済がアフリカのGDPの5.2%に貢献する可能性があると推定しています。
ITC(International Trade Center)の調査によると、好況時に競争力を発揮する企業は、危機の際にも回復力を発揮することが分かっています。したがって接続性に支えられたデジタル化は、特に国際市場との接続において、中小企業に競争力を与えることができるのです。
デジタル技術やネットワークの導入だけでは不十分な理由
B20 Digitalization Taskforceの主要な提言の一つは、「個人と中小零細企業のデジタル化対応マインドセットの確立」です。
インドネシア政府は、デジタル経済を加速するために、2030年までに900万人の新たなデジタル人材が必要であると見積もっています。識字能力とスキルはインターネットアクセスにおいて人々が自認する唯一最大の障壁であり、アフリカ、ラテンアメリカ、東アジアおよび南アジアの人々の3分の1が、これを最大の障壁として報告しています。デジタルスキルのギャップを埋めるためには、デバイスやインターネットサービスのコストの高さ、公共サービスのオンライン化、多くの地域で有意義なローカルコンテンツの欠如に対処する必要があります。
エリクソンは、デジタルスキルプログラムであるEricsson Educateを開発し、5Gネットワーク、人工知能・機械学習、自動化、クラウドコンピューティング、データサイエンス、IoT、電気通信といった主要技術に関するオンラインコースにアクセスできるようにしています。
Ericsson Educateは、2020年以来アジア、アフリカ、中東の大学の学生に展開され、成功を収めています。マレーシアでは、UTM(Universiti Teknologi Malaysia)とDNB(Digital Nasional Berhad)の協力のもと、今年からプログラムが開始され、UTMの学生は、産業にフォーカスしたトレーニングや新技術に関する実践的な知識を補完的に利用できるようになりました。ベトナムはRMIT(Royal Melbourne Institute of Technology)、タイではKMUTT(Thailand with King Mongkut University of Technology Thonburi)と同様の提携を発表しています。
またこのプログラムは、各国政府のニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。Smart Africa Digital Academyは、Ericsson Educateプログラムを採用し、加盟国のICT、政策、規制機関のトップマネジメントのデジタルスキルを向上させる予定です。厳選されたワークショップは、参加者が5G対応技術およびアプリケーションについて堅固かつ多角的な理解を得られることを目的としています。
人と人をつなぐビジネス
デジタル化は、他者とつながり、関わり、共有し、学び、交流し、それらを通じて、気候変動への影響を軽減する解決策を見出すための新たな可能性を開きます。
重要なのは、接続性や技術が不均質に広がると「デジタルデバイド」が拡大する危険性があることです。たとえば2027年には北米のモバイル契約数の90%が5Gになる一方で、サハラ以南のアフリカではモバイル加入契約数の10%にとどまると予測されています。
ネットワークは、大規模で、迅速かつ安価に整備される必要があります。しかし人々は何よりもアクセスを必要としています。人々は手ごろな価格で入手できるデバイスと、そのデバイスを使ってデジタルに接続し、成功する機会を得るためのスキルと教育が必要なのです。
これは私たちの時代の緊急課題の一つであり、産業界、政府、機関、市民社会が一体となって取り組む必要があります。私たちに加わっていただけませんか。
この記事は、世界経済フォーラムアジェンダシリーズにも掲載されています。こちらをご覧ください。
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