先週、二つのエキサイティングなことがありました。一つ目は、とても長かった空白の時間を経て、久々にバルセロナ行きの飛行機に乗り、多くのお客様やパートナーと対面で会えたことで、何かとても非現実的に感じました。二つ目は、大きな影響力を持つ技術戦略の推進者、アナリスト、メディアに新しいデモを紹介できたことです。
ついに現実のイベントに参加し、初めてパートナーと実際にお会いしたり、新しいパートナーシップをわくわくしながら発表したり、マスクを着けたまま12時間連続で話していたからか、それともこれらすべてを経験したからか、私は何かピンとくるものがありました。技術業界で働くと、未来を楽しみに多くの時間を費やします。しかし今回私はショールームを歩き回りながら、「今何か起きている」と感じたのです。
2030年までの10年間で、AIと5Gの広範な商用利用はビジネスを再定義し、経済成長を加速させるはずです。私たちは長い間、これらの技術の融合による可能性を話してきました。AIと5Gが融合することで、文字通り何千もの企業が(アプリケーション開発者の力を借りて)その働き方を根底から変えることでしょう。先週のMWCで私は、私たちがそれに一歩近づいていることに気づきました。ドミノ倒しの最初の一枚が倒れたのです。
このブログでは、最新のエキサイティングなユースケースを共有し、エリクソンのクラウドRANチームとパートナーのNVIDIAのチームの最新のアイデアを発表します。これらは、エコシステム内のコラボレーターであるHPEとChoochの協力を得て発展させたものです。
AIと5G:完璧なレシピ
5Gが大量のリッチデータを生成するおいしいイノベーションのブッフェを永遠に作り出す側とすると、AIはそれをどう食べるかを説明するヘッドシェフにたとえられます。4Gより最高で100倍高速な5Gは、超低遅延、広帯域幅、超高信頼性の安全な接続を提供し、限りない接続性と無限の機会がある世界を創造します。一方で5Gネットワーク上のAIアプリケーションは、イノベーションと意思決定を推進するためのインテリジェンスを解き放ち、上質な体験を提供します。
AIのビジネスへの導入は急増しており、PwCは、2030年までにAIが世界経済に占める規模が途方もない額の15.7兆米ドルに達すると推測しています。AIはネットワークエッジにおいて、AGV(Autonomous Guided Vehicles)、動画分析、資産追跡、ロボット工場などの、多くの新しいユースケースを生み出していくでしょう。ここにクラウドRANが加われば、さらに素晴らしい恩恵をもたらされるはずです。(それについては後で説明します)。
しかしそれを正しく行うことは協調ゲームだと言えます。通信事業者、テレコムベンダー、デバイスメーカー、AIアプリケーション開発者、クラウドインフラプロバイダー、ハードウェアベンダーは、企業を変革するために5Gとそれ以降の通信世代に必要なすべてのコンポーネント全体を一緒に革新する必要があります。そしてこのパワフルな新しいエコシステムは、すでにすべての関係者によるWin-Win-Winを生み出しています。
エッジのイノベーションに容易に導入できるAI-on-5Gソリューション
エリクソンとGPU(Graphics Processing Unit)の発明者であり大手のAIプロバイダーであるNVIDIAは、5GにおけるAI分野でパートナーシップを組み、5Gネットワーク上で柔軟で効率的かつ安全なAIエンタープライズアプリケーションを探求しています。
このコンセプトの主なユースケースの一つは、先週のデモを支えたインテリジェントな動画分析です。企業はインテリジェントな動画分析を使って、フィードデータを活用したパワフルな意思決定を行い、プロセスを最適化できます。AIベースの動画ソフトウェアは、動画内のさまざまなオブジェクトを検出および識別し、それらを分類して、検索、フィルタリング、アラート、データ集約や視覚化といった、インテリジェントな動画分析を可能にします。
インテリジェント動画分析が実現するユースケース:
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- 職場と公共安全の強化:倉庫、工場、大規模な公共イベントの安全性を改善します。施設内に設置されたカメラからリアルタイムで動画を収集することで、火災、侵入、群衆の急増などの危険を検出し、スタッフに警告し、人々の安全を守ることができます。
- スマートパーキング:既存のカメラ1台を複数のパーキングセンサーに転じることで、ロットの占有率と駐車時間をリアルタイムで提供します。このデータがあれば駐車スペースをより簡単に見つけられるので顧客体験が向上し、燃料消費量の削減にも役立ちます。
- スムーズな買い物:ヒートマッピングを使う事で、店内の足跡のパターンを理解し、お客様に必要な場所で必要な助けを提供できるようになります。たとえばこの情報に基づいてレジに長い行列が発生する事がわかるので、店舗レイアウトを改善してフローの改善を図ることもできます。ソーシャルディスタンスが新しい規範となった社会において、これは特に有用なユースケースだと言えます。
- 交通管理:都市間の交通量の増減について潤沢な知見を得て、交通渋滞が多い地域を特定し都市計画に反映する事で、大気汚染とCO2排出を削減し、人々の旅をよりスムーズにします。リアルタイムのユースケースには、立ち往生したまたは故障した車両、交通事故、違法なUターンといった危険な操作を特定する機能も含まれます。
- 患者の満足度の向上:カメラが待合室を継続的に監視し、患者が待たされすぎないようにし、また必要に応じて緊急の対応を受けられるようにします。異常を素早く検知して介護者に知らせることもできます。
動画分析ソリューションが、貴重なビジネス上の知見を提供する能力のおかげで大幅な成長を遂げているのは、何ら驚きではありません。この技術が企業にもたらす可能性は無限大です。エリクソンとNVIDIAは、そうした可能性を追求する通信事業者とその企業顧客を支援する準備ができていることをうれしく思っています。
MWCで示したエリクソンとNVIDIAのコンセプトは、高性能5GクラウドRANのエッジでAIアプリケーションを提供し、データをオンプレミスで処理してリアルタイムの意思決定とアラートを実現します。同じクラウド・インフラでAIと5Gを実行するため総所有コストが削減でき、また事前の統合により、企業によるAI on 5Gソリューションの活用がはるかに簡単になります。
NVIDIAのAI-on-5Gプラットフォームは、高性能のソフトウェア定義の5G RANを介してエッジでAIアプリケーションを提供することで、新しい技術的な戦略を可能にします。均一のスケールアウトプラットフォーム(AIと5G両方のワークロードを実行する1RUのテレコムグレードサーバーのラック)なので、小規模から大規模なサイズに簡単に拡張できます。AI、5G、コンピュート、オーケストレーション/管理スタックからなるモジュラー型アーキテクチャーにより、さまざまな顧客の構成をサポート可能です。
またNVIDIAがAI対応のアプリケーションとパートナー全体を導入したことで、共同のイノベーションの機会がさらに増えています(私自身もそれを楽しみにしています)。しかし私たちだけではありません。この新しいエンドツーエンドのソリューションは、はるかに大きくエキサイティングなエコシステムによって強化されています。
HPE(Hewlett Packard Enterprise)は、通信事業者が直面する複雑性を軽減し、大規模5G展開のためのイノベーションを加速する、RANに最適化されたテレコムサーバーの開発において私たちと協力しています。また大手エンタープライズAIプラットフォームプロバイダーのChoochは、より多くの世界水準のコンピュータービジョンソリューションを開発し展開するために、私たちと密に協力しています。
こうした協業を通じてソリューションをさらに拡張することで、ドローンによるトラフィック分析、品質保証・検出、AI利用の自律型店舗、リモート接続車両といった他のユースケースを実現できることでしょう
エッジにもう一歩近づく
企業にとっては、より効率的でインテリジェントな運用のために、高性能5G RANのエッジでAIアプリケーションを実行する事が不可欠です。通信事業者が5GエッジでAIアプリケーションを実行することで、新しい収益源が生まれます。つまりAIを5Gの主要なアプリケーションの一つに位置付けることができるのです。
イベントの参加者がうなずいているのを見れば、AI on 5Gユースケースの可能性が、MWCに参加した人々の心に響いたことは明らかでした。一方で「このテクノロジーはどこまで進化するのか?他にどんなユースケースの可能性があるか?」という質問が寄せられました。
これには「多くの可能性が見えてきている」とお答えしましょう。私たちはこのコンセプトをさらに発展させ、NVIDIAと幅広いパートナーのエコシステムを通じて、この技術の可能性を探求し続ける事を楽しみにしています。5GとAIのユースケースの世界は広大で多彩であり、より遠くを見るほど、より多くの驚きが見つかることでしょう。
もっとお知りになりたい方へ
エリクソンとNVIDIAが考えるAIと5Gによる企業のデジタライゼーションの強化について、詳しくはこちらをご覧ください。
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