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カスタマー体験を維持しつつ省エネを実現持続可能なネットワーク

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ネットワークの性能を維持しつつ消費電力を削減することは非常に重要です。それにはユーザー体験の最適化と、ネットワーク性能の綿密な管理が必要となるのです。以下ではエリクソンのポートフォリオディレクター、ギョクチェ・アルカダグリ(Gökce Alacadagli)が、データドリブン運用ブログシリーズの一環として、アクティブとパッシブのネットワークエレメントの消費電力を削減する革新的な方法をアニー・ターナー(Annie Turner)に語っています。*本ブログは2023年1月31日投稿の英語版の抄訳です。

Journalist, Co-author

Service Portfolio Director, Energy Management Solutions

ハッシュタグ
Climate change melting icebergs

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寄稿者 (+1)

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2022年、エリクソンはホワイトペーパー「エネルギー消費曲線の抑制を目指して」を発表しました。この研究によって、通信事業者全体で年間約250億ドルのエネルギーコストを支払っていることがわかりました。消費電力が上昇カーブを描き続けることは、経済的にも環境的にも持続不可能であることは明らかでした。エリクソンは、それ以降のエネルギー価格の高騰により、エネルギー関連の支出が300億ドル以上増加した可能性があると推定しています。

ギョクチェ・アルカダグリは、問題のエネルギー曲線は、モバイルネットワークがピーク時の容量需要に対応できるように展開されていること、また2G、3G、4Gから現在の5Gに至るまでにネットワーク内のエレメントの数が増えていることに起因すると説明します。「もっと全体的なアプローチが必要です。ネットワークのKPIや、ネットワークを拡張するための設備投資に注力しすぎて、全体のエネルギー消費を増やしてしまう可能性もあります。ほとんどの事業者がグループレベルでカーボンニュートラルやネットゼロを目指すと表明しているにもかかわらずです。ピーク性能を追及する事業者から、エネルギー効率の高い持続可能な事業者への、発想の転換が促されています」と語っています。

このような背景から、エリクソンのエネルギー曲線の上昇を抑制する三つの計画を立案しました。一つ目は、アルカダグリによると「たとえばMassive MIMOの強化など、周波数帯を最も効果的に使う正しい方法を計画し投資すること」で、ネットワークを持続的に進化させることです。

二つ目は、消費電力を最大40%削減した新型無線機への置き換えなどによる、ネットワークの拡張と最新化です。アルカダグリは「ネットワークを高機能化すれば、トラフィックが増加しても消費電力を削減できる可能性があります」と説明します。

アルカダグリが特に注目しているのは三つ目の「AIや機械学習を使って既存のネットワークをよりインテリジェントに運用し、今すぐエネルギー消費を削減する」方法です。一方でエリクソンは、より電力効率の高いRAN(Radio Access Network)運用であっても、それがカスタマー体験を損なうと思われるネットワークKPIに影響を与える方法であれば、通信事業者は採用をためらうことを知っています。

認識の誤り

実際のところエネルギーの削減は、必ずしも体験に感じ取れるほどの影響を与えるわけではありません。エリクソンはそれを証明する透明性のある実証データを持っています。アルカダグリによれば「28Mbpsで動作するモバイル機器でHD動画を見ているときに速度が3Mbps低下しても、動画の性能やWhatsAppの通話に影響はないのです。実際にはこうしたコンシューマーサービスの多くは、平均10Mbpsの速度でも十分に動作するという調査結果が出ています。この点については今年初めの記事「5Gのピークダウンロード速度、気になりますか?」でも触れています。エネルギー最適化対策としてスループットを制御しても、カスタマー体験として感じ取れるほどの影響はありません」

アルカダグリは次のように続けています。「ネットワークから非常に良いデータを得ており、事業者が省エネとスループット最適化のバランスを見つけるお手伝いができます。ネットワークにはお客様が変更を望まないので手をつけない部分もありますが、たとえば3%の調整で10%の節約になる部分もあります」

「これまでお客様は、さまざまなシナリオを安全に検討するためのツールやソリューションを持っていませんでした。今やエリクソンにはお客様にお見せできる全体的なソリューションがあり、お客様ご自身でそこからシナリオを選択していただけます」

不器用な方法

どの産業にもあてはまる最も単純な省エネ手段は、エネルギーを消費するデバイスを低エネルギーモードまたはスタンバイモードにすることです。エリクソンは無線ノードに対してこれを複数の方法で実行できます。アルカダグリは「RANでは複数の機能が異なる動作を行うので、ほとんどのベンダーがマイクロ秒単位でパワーアンプをオン/オフするソフトウェア機能を備えています」と述べています。

「LESS(Low Energy Scheduler)がデータ転送をスケジュールしてエネルギー効率を最適化することで、Micro Sleep TXなどの他のハードウェアに近いアルゴリズムの効率が向上します。MIMOスリープモードでは一部のブランチを休止し、ファストスリープモードでは特にトラフィックがしきい値以下になったときにセル全体を停止します。つまりRANには省エネ機能の基盤がありますが、通信事業者はネットワークKPIに影響を及ぼすことへの不安から、一般には夜間のみ有効にしています。私たちは、昼と夜で異なるしきい値を実装することで、よりインテリジェントに管理するソリューションを提案しています」

エリクソンは、正確なデータを活用することで、体感的な変化を伴わずにエネルギー使用を最適化し、大きな改善を得られると考えています。エリクソンの目標は、ネットワーク、クラスター、地域ごとにトラフィック量とユーザー体験が大きく異なる中で、どうすればエネルギーをより有効に活用できるかを理解することです。

アルカダグリは次のように述べています。「最大の省エネを達成するには、局あるいはセルのレベルまで異なるプロトコルを動作させる必要があります。局によってトラフィックのプロファイルが異なるため、すべての局に対応した省エネパターンを作る必要があります。局あるいはセルの単位でトラフィックの動向を観測し、個別に適用可能なポリシーや動作を生成するコグニティブなソリューションを提案します。これこそが通信ネットワークインフラ全体のエネルギー効率化の成否を握るものです」

パッシブインフラの力

アルカダグリの話は、インフラのアクティブな部分である無線ユニットだけにとどまりません。基地局サイトには、無線ネットワークを年中無休で稼働させるためのパッシブインフラが必要な点も指摘しています。基地局サイトを稼働させるためのエコシステムであるパッシブインフラは、バッテリー、電源装置、重要な機器を冷却する空調装置などで構成されています。アルカダグリは次のように述べています。「エリクソンは、トラフィックパラダイムとユーザー体験に配慮し、あらゆるテクノロジーとインフラに適用できる、AIと機械学習を用いたコグニティブなエネルギー管理あるいはホリスティックなエネルギー管理ソリューションの推進を目指しています」

エリクソンは目的達成に向けた三つの柱として、ネットワーク全体から収集したデータによる自動化の促進、機械学習の適用、その出力を使ったエンドツーエンドのネットワーク制御を挙げています。

アルカダグリは述べています。「私たちはエレメント管理システムとOSSでエネルギー消費量と性能を測定するデータを取得しています。各サイトの動作、提供している顧客体験、トラフィックなどを把握しています」

「またRANから送られてくるデータを調べて理解し、その消費パターンを見てプロファイリングする必要があります。生成トラフィックに応じてサイトのエネルギープロファイリングを行う事業者は多くありませんが、プロファイリングの結果として、ユーザーに提供するギガバイト単位のデータからエネルギー効率の高いサイトをベンチマークできます」

「しかしパッシブインフラの管理には、一般には現地訪問が必要になります。たとえばエアコンを21度に設定するとそのままなのです。パッシブインフラがデータを生成しなければ、それを制御できません。このエコシステムのすべてを制御するには、コントローラ、センサー、IoTデバイスに投資し、デジタル化する必要があります。私たちはそれをデータの力を最大限に活用したオートメーション構築と呼んでいます」

これによって大きな利益が得られる可能性はあります。しかしパッシブインフラを「仲間入り」させるためには課題もあります。もともとネットワーク機器のプロバイダーとパッシブインフラのサプライヤーのいずれも、パッシブインフラからのデータを統合することは考えていなかったからです。そのためパッシブなエレメントからのデータは分離されている傾向があります。必要な投資に対する見返りについて顧客を説得する必要がありますが、アルカダグリは楽観的な見方をしています。

AIベースとデータドリブン

これらの目的を達成するために、エリクソンは2020年にEricsson Operations Engineの一部として、AIをベースとしたデータドリブン型のマネージドサービスへの取り組みを開始しました。エネルギーインフラ運用では四つの分野にフォーカスしているとアルカダグリは説明します。

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予測型セルエネルギー管理アプリケーションは、サイト上の各セルのトラフィック量と使用パターンを予測し、スタンバイやスリープなどの最適なエネルギー節約モードに移行させることができます。アルカダグリは熱を込めて語ります。「過去のデータを使ってパラメーターを設定したり、リアルタイムに判断して、たとえば6時間ごとに新しいパラメーターを設定することもできます。興味深いことに、これらのソリューションのパラメーターは一般的に、状況の変化に関係なく設定・展開され、そのまま維持されています。クローズドループ自動化により、時間帯によって異なるしきい値を設定したり、すぐにスリープモードにしたりすることもできます」

サイトやセルのエネルギープロファイルでは、たとえばあるサイトのセルが比較対象のセルよりも多くエネルギーを消費していることを明らかにするアルゴリズムが使われます。

異常検知とインフラ運用の予測アルゴリズムを使って、無線機だけでなく、ディーゼル発電機、整流器、空調装置などのパッシブインフラのエネルギー消費を監視できます。消費量が予想以上に多い場合は、改善策を提示することが可能です。たとえばエアコンのフィルター交換が必要だろうと「推測」したり、冷房の最適化のために温度設定をリモートで調整したりできます。つまりアクティブなコンポーネントとパッシブなコンポーネントを含むサイト全体のエネルギー消費を抑えることができるのです。

電源の最適化や、ピーク時に送電網を遮断するためのバッテリー容量を確保するなど、各サイトで積極的な管理を行うことが重要です。バッテリーを緊急時のバックアップではなく日常的な電源として使うことに抵抗がある通信事業者もいますが、AIと機械学習によって15分ごとに最適な電源の選択肢を検討できるようになれば、考え方も変わります。

透明性と証明

アルカダグリは述べています。「もしソリューションと機械学習が、事業者がどのような行動を取り、どのような結果が出たかを示すことができるほどの透明性を備えていれば、ソリューションを販売するために苦労することはありません。その証明を提供できることが、今エリクソンが多くのお客様に支持されている理由です」

「この四つの柱の背景には、機械学習をさまざまな導入手法で活用し、サイトからのデータをもとにサイトやセルのレベルで意思決定をするという思想があります。AIと機械学習は、各サイトのインフラを常に独立して運用し、通信業界のエネルギー効率を変革する主要なツールとなるはずです」

もっと詳しく

RANについてはこちら

Massive MIMOについてはこちら

「エネルギー消費曲線の抑制を目指して」のダウンロードはこちら

関連情報:

成功事例 Tackling Network Energy Consumption (PDF)

 

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