エリクソンRedCap（Reduced Capability）と呼ばれるこのソリューションは、新しいハードウェアを要することなく、エリクソンの5G SA（Standalone）ネットワークへのソフトウェア追加として、2023年11月に商用提供を開始する予定です。RedCapは、5Gネットワークに接続できる新しい種類のデバイスのエコシステムを強化します。
新しい機能で拡張されたNR（New Radio）デバイスのエコシステムは、さらに多くの5Gユースケースの成長に拍車をかけることでしょう。エリクソンRedCapは、デバイスのエネルギー消費を最適化するスリムな手順をサポートし、現在LTEデバイスでのみ利用可能なウェアラブルを実現します。
エリクソンのネットワーク製品部門の責任者、デビッド・ハマーウェル（David Hammarwall）は次のように述べています。「エリクソンRedCapは、5Gの機能の全てを必ずしも必要としない新しいタイプのデバイスという新たな可能性をもたらします。RedCapソフトウェアは、コスト効率とエネルギー効率に優れた方法で、消費者向けウェアラブルから産業用センサーに至るあらゆるモノの5G接続を強化し、さまざまな新しいユースケースの可能性を解き放ちます」
新しい5G RAN（Radio Access Network）ソフトウェアソリューションにより、通信事業者は、FDD（Frequency Division Duplex）とTDD（Time Division Duplex）帯の多様な消費者および企業ユースケースと産業環境で、より多くの接続オプションを提供できます。
エリクソンRedCapは、ローエンドのAR（Augmented Reality）ウェアラブル、動画監視機器、産業用センサー、スマートグリッドなどで、複雑性を軽減したデバイスをサポートします。新しいソリューションは、既存のローエンドのLTEソリューションよりもエネルギー効率が高く、ウェアラブルOEM（Original Equipment Manufacturer）業界の注目を集めています。
ベライゾンの技術開発企画部門のバイスプレジデント、ビル・ストーン（Bill Stone）氏は次のように述べています。「5Gは基本的に高度にカスタマイズ可能なサービスとして設計されています。エリクソンのNR RedCapの進化は、5Gネットワーク全体に展開された高度なテクノロジーと共にさまざまなデバイスでそのようなカスタマイズを実現し、ネットワークリソースを効率的に割り当てることで、お客様にネットワーク上で可能な限り最高の体験を提供します。この進歩が5Gエコシステムの進化に貢献することを期待しています」
エリクソンは主要なチップセットベンダーと緊密に協力し、複数のタイプの5Gデバイスを市場に投入しています。MediaTekのワイヤレス通信システム兼パートナーシップ担当ジェネラルマネージャーのHC・ワン（HC Hwang）氏は、「5G RedCapをサポートするMediaTekの今後のソリューションは、エリクソンによるインフラの準備から確実に恩恵を受けます。事業者、消費者、企業は、次世代の革新的な5G製品とサービスからすぐに利益を得ることができるはずです」と述べています。
NR RedCapとは何か
NR（New Radio）RedCapは、5Gネットワ ークへの接続を大幅に増やして5Gエコシステムの拡大に寄与するデバイスカテゴリーです。これはミッドティアのユースケース向けに最適化された設計で、既存の5G設定においてLPWA（Low-Power Wide-Area）とURLLC（Ultra-Reliable Low Latency Communications）の使用の間に存在する機能と複雑性のギャップを埋めることで実現されます。
デバイスプラットフォームの複雑性、サイズ、機能を効果的にスケールダウンしたRedCapは、ウェアラブルや産業用センサーなどのデバイスへ、高いコスト効率で統合できます。3GPP Release 17で最初に導入されたコンセプトの一部であるRedCapは、現在の5Gテクノロジーの高機能を必ずしも常に必要としない多様なユースケースにコスト効率よく電力を供給するために必要なスループット、バッテリー寿命、複雑性、デバイス密度を組み合わせた機能を提供します。