エリクソンのインテリジェントイノベーションのアプローチは非常にシンプルです。標準化により最適な結果が得られる部分では標準化を使用し、ベンダー固有のアプローチにより結果が最適化される部分ではベンダー固有を使用します。インテリジェントイノベーションはダイナミックで迅速、かつ問題を解決するものです。また、Non-RT-RIC(non-Real-Time RAN intelligent controller:非リアルタイムRANインテリジェントコントローラー )を含む、O-RANアライアンスSMO(service management and orchestration:サービス管理とオーケストレーション)プラットフォームがRAN自動化のための優れたプラットフォームであると認識する、エリクソンのRAN自動化へのアプローチとの親和性が高いものです。エリクソンは、現在展開されているネットワークの98%を占める、既存の専用ネットワークの4G・5Gもインテリジェントイノベーションでカバーします。
インテリジェントイノベーションは、テレコム産業におけるオープン性やイノベーションに対するエリクソンのアプローチとコミットメントに密接に結びついています。どの様に機能するのでしょうか?
エリクソンインテリジェントオートメーションプラットフォームにおけるインテリジェントイノベーション
EIAP(Ericsson Intelligent Automation Platform:インテリジェントオートメーションプラットフォーム )は インテリジェントイノベーションの主な実用例です。本プラットフォームは、特にノースバウンド(OSS/BSS )とサウスバウンド(ネットワーク )のインターフェースなど、マルチベンダー間の相互連携やオープンな開発を行うエコシステムを促進させるためオープン性を最大化する標準化(前)のインターフェースと、閉じたベンダー固有のコンポーネント領域での、スピード、迅速さ、制御が重要となる、SDK(software development kit:ソフトウェア開発キット)の両方を使用します。
エリクソンはNon-RT-RICとその上で走るRAN自動化rApps間の内部R1インターフェースを強力に支持しています。R1インターフェースを特定、公開、最終的に標準化する能力は、RANベンダー、CSP(communication service provider、通信サービスプロバイダー )、他のサードパーティソフトウェアベンダーにRAN自動化rApps構築、また、更に重要なRAN自動化rApps収益化を可能とさせるオープンイノベーションエコシステム創生の鍵となります。EIAPは革新性が高く、プラットフォームでは標準化(前)[1]のインターフェースと顧客固有のアプローチを混在させて使用しています。
[1] O-RANアライアンスの主要インターフェースが提案され、現在仕様決めの過程にあります。仕様が決まると、これらのインターフェースが標準となることが期待されています。現在、これらは標準化(前)のインターフェースと言えます
インテリジェントイノベーション – 標準化
エリクソンには、2G、3G、4G/LTE および5Gのモバイルネットワークテクノロジーの仕様を定義するため3GPPを主導した強力な実績があります。Utran-UE(Uu)インターフェースは、エンドユーザーデバイスまたはスマートフォンとも言うUE(user equipment:ユーザー装置)と無線基地局/eNodeB間で運用され、インターフェース標準化の重要性を示す主な例です。標準化されたUuインターフェースは、すべての電話メーカーが、彼らが生産する携帯電話が世界中あらゆる場所の4Gまたは5Gネットワークで機能することに自信を持てることを意味します。常にそうである様に、デバイスと様々なRANベンダー装置間の相互運用性試験を一定レベル満たさなければなりません。各標準が若干異なる形で解釈・実装される可能性があることがその理由ですが、この試験は最低限です。標準化は、全世界の市場へのアクセスを持つ、電話メーカーたちの広範囲なエコシステムを推進させました。エンドユーザーにとっては、ネットワークカバレッジがあり、自分のサービスプロバイダーの必要なローミング契約が有効である想定では、世界中どこへでも移動し、自分の電話を使用できることを意味します。二十数年前の状況とは違います。 4G/LTEの導入まで携帯電話の世界標準は全く存在しなかったことを思い起こすことは重要です。世界は3GPP (WCDMA) と3GPP2(cmda2000)ベースの互換性を持たないシステムに大きく分割され、さらに、数々のバリエーションや、世界各国固有の標準に分かれていました。特に中南米ではWCDMAとCDMAネットワークが混在しており興味深い状況でした。
この場合は、複数のベンダーのエコシステムに対応する明確なメリットが標準化業界にありました。
インテリジェントイノベーション ー ベンダー固有
EIAPの重要な構成要素としてプラットフォームSDKがあります。SDKは、エリクソン、CSP、また、サードパーティのISV(independent software vendors:独立ソフトウェアベンダー)が自動化rApps を迅速に構築できるよう設計されています。SDKにより市場参入への技術的障壁や開発コストが低くなるほか、最終的仕様、またはR1インターフェースの標準化をも基礎にして複数のSMOベンダープラットフォーム全体で収益化が実現することがその理由です。SDKのアプローチを判断する際、エリクソンは二つの重要な決定を下しました。
- 一つのSDK: 今後、エリクソン独自製品およびサービス開発チームにより使用される一つのSDKが存在することになり、また、同じSDKが顧客やサードパーティ自身のrApps開発に使用されることになるでしょう。オープン性を最大化するため、エリクソンは、サードパーティがrAppsを構築する能力を制約・限定するであろう機能を隠さない選択をしました。本アプローチでは、潜在的に、2社以上が非常に似た、または、競合するrAppsを構築する可能性はあるとしても、イノベーションを制約しようとするより、そちらの方が重要であると認識しています。
- 単独エンティティの所有 :エリクソンはEIAP SDKを公表し、広く利用可能とするよう計画していますが、SDK自体の統制を、例えば、SDKのオープンソースプロジェクトを発足させて手放すことは計画していません。本アプローチの理由は迅速性です。本アプローチにより以下が実現されます。a)顧客およびサードパーティが、テンプレートとなるアプリケーション、API、ツールセットおよびガイドにより、SDKの非常に高い機能性を使用して新規rAppsを迅速に開発し、収益化できます。b)エリクソンがSDKの統制を保持することで、より迅速なアップデート、付加機能、また、セキュリティ面で考慮すべき点の管理能力、つまり本質的により速く、迅速になる能力が得られます。
これは、エリクソンが非常に高価値である資産を業界と共有するとともに、単独エンティティの所有によりスピードと迅速性から得られるメリットを受ける「良いオープン性」の一例です。このSDKによって開発されるrAppsは、オープンR1インターフェースを利用してNon-RT-RIC、O-RANアライアンスのA1、O1、O2インターフェースでクラウド℞ANおよびオープンRANネットワークに接続するため、それらのrApps構築に使用されるツールキットが実質独自仕様であるという事実がアプリケーションに影響することはありません。
専門ネットワークのオープン性
残念なことに、現在展開されている4Gおよび5Gの専門ネットワーク、または物理的なRANネットワークでは、ネットワーク管理機能が独自性が非常に高いか、ベンダー固有である傾向があります。これまで、OSSiiと呼ばれるOperational Support System initiative(運用サポートシステム相互連携構想)等、有効な相互連携構想がいくつかありましたが、エリクソンとは異なり、すべてのRANベンダーがその精神またはOSSiiのアプローチに関するレターを採択してきたわけではありません。つまり、EIAPがエリクソン以外のネットワーク管理システム(NMS)や装置管理システム(EMS)に対応するためには、非エリクソンネットワークのFCAPS – fault(障害)、configuration(構成)、accounting(課金)、performance(性能)、 security(機密)対応のために一定レベルのシステムインテグレーションが必要となることを意味します。
しかしEIAPはプラットフォームのオープン性最大化を目的に設計されているため、単独、マルチベンダー、マルチテクノロジーのサービス管理およびオーケストレーションプラットフォームを提供するため、標準化されているまたは独自仕様のノースバウンドとサウスバウンドのインターフェースをサポートすることができます。
自分のプラットフォームをできるかぎりオープンなものにし、CSPが期待する「真のマルチベンダー・マルチテクノロジープラットフォームを提供する」機会を他ベンダーが活用することを望むしかない場合もあります。
オープン性の原則
「良いオープン性」の条件を作る四つの重要な原則があり、オープンRANのサービス管理とオーケストレーションに対するエリクソンのアプローチは、その四つすべてを使用すると私たちは考えています。
- 下位互換性 – 既存テクノロジーへの移行を伴う標準インターフェース実装
- 報酬への投資 – 作成者や貢献者は作業を収益化する必要があるため、イノベーションと価値創生に対する報酬
- 標準化の最適化 – 過剰な標準化による人為的制約の回避と、十分定義されパブリッシュされたAPIメリットの活用
- 統一されたアーキテクチャー的アプローチ – コラボレーションによる単独産業アーキテクチャーの推進、およびGSMやCDMA等地域的なテクノロジー分割の回避
以上から、冒頭の問いかけに対する回答は、オープンインターフェースの使用がRAN自動化推進の基礎となる、となります。標準化か、独自仕様・ベンダー固有のアプローチかの議論は、各アプローチの長所と短所を比較評価することにより推進されると私たちは考えています。SMO領域では、「良いオープン性」が、最適な結果を生み、迅速なイノベーションを実現するための、標準化とベンダー固有インターフェースの混在を意味することは確実です。
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