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AI主導のネットワーク最適化を促進するには? 説明可能なAIがその答えです

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AI(Artificial Intelligence)については毎日のようにニュースで耳にします。あらゆる産業に巨大な影響をもたらしていますが、通信業界についてもその期待は変わりません。しかしAIを大規模に導入するには課題があるようです。AI導入の取り組みを始めることをお考えですか? もう悩む必要はありません。説明可能なAIが力になります!
*本ブログは2024年2月15日投稿の英語版の抄訳です。

Head of Solution Line Cognitive Software & Services

AI主導のネットワーク最適化を促進するには? 説明可能なAIがその答えです

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AIが世界を席巻しています。ディープフェイクから自動運転車、ChatGPTに至るさまざまな文脈で、あらゆるニュースメディアがAIについて語っています。AIが引き起したビジネス破壊の例は、ほぼすべての業界で簡単に見出すことができます。AIは「次」ではなくまさに今取り組むべき「唯一の選択肢」のように見え始めています。

しかしタブレットや携帯電話を閉じて仕事に戻ると、AIがすべてのネットワークにフルスケールで展開されたり、自動化されたネットワーク運用を処理したり、限られた領域であってもCSPの運用業務を単独で管理したりする事例を目にすることは通常はありません。そこで当然「AIがすでにそれほど優れているのなら、なぜあらゆる場所で使われていないのか」という疑問が生じます。

興味深い質問には、通常は短くて機知に富んだ回答(少なくとも良い回答)はありません。なのでまずは「AIを使う」とはどういうことなのか、という別の切り口から始めましょう。

AIを大規模に活用するための三つの前提条件

今日の社会では、画像認識から高速で移動する自動運転車に至るまで、RL(Reinforcement Learning)やNLP(Natural Language Processing)などのさまざまなAI技術を使った数多くのAIソリューションが登場しています。

にもかかわらず通信分野は、この技術の急速な進歩に起因する三つの主要な課題に直面しており、AIモデルの力を最大限に活用するためにいくつかの前提条件を満たす必要があります。

  • 信頼性: AI主導のインサイトとレコメンデーションへの信頼は、それらを運用プロセスに導入し、統合するために不可欠です。インサイトの生成に使われるアルゴリズムとデータソースの透明性が、信頼を築くためのカギとなります。ユーザーは、基盤となるロジックや意思決定プロセスなどを含め、AIモデルがいかにしてレコメンデーションに至ったかを可視化できるべきです。クローズドループ自動化に向けた進歩には、AIシステムがレコメンデーションの結果から学習できるようにするフィードバックメカニズムの生成が含まれます。この反復的なプロセスにより、時間の経過とともに分析情報の精度と関連性が向上し、システムの機能に対する信頼性が高まります。
  • 柔軟性: 特定の地域の要件は、地理的条件や市場によって異なることがあります。したがってAI主導のアプリケーションは、これらの差異に対応し、それに応じてレコメンデーションを調整するのに十分な柔軟性を備えていなくてはなりません。これにはモデルのカスタマイズや、特定のニーズに合わせてパラメーターを調整することが含まれます。「モデルドリフト」とは、基盤となるデータ分布やビジネス環境の変化により、AIモデルの性能が時間の経過とともに低下する現象を指します。これに対処するには、システムがそのような変化を検出し、それに適応できなくてはなりません。これには、ビジネス目標を達成するのに都合のよいときにいつでも関連性と正確性を継続的に確保できるよう、さまざまな市場の非常に多様なネットワークタイプを組み込んだデータセットで最初に訓練されたモデルを、ローカルデータを使って再訓練することが含まれます。
  • アジリティ: AI主導のアプリケーションをCSP(Communications Service Provider)の運用フレームワークに統合するには、既存のインフラとプロセス内にシームレスな展開と運用を確保するためのアジリティが必要です。これには業界標準、相互運用性要件、セキュリティプロトコルとの連携も必要かもしれません。CI/CD(Continuous Integration/Continuous Deployment)のベストプラクティスは、迅速で自動化されたソフトウェア変更の試験と展開にフォーカスしています。これらの原則をAI主導のアプリケーションに適用することで迅速な反復と更新が可能になり、新しいインサイトとレコメンデーションを運用ワークフローにシームレスに統合できます。

AI主導ソリューションの柔軟性とアジリティが高まることで、事業者はAI機能をより簡単かつ効率的に導入・運用できるようになります。AIモデルの透明性が高まると、これらのモデルを本番環境に導入するための道のりが短縮されます。

私たちには何を達成したいのかがわかっています。ではどうやってそれを実行すればいいのでしょうか。

通信AIを強化する方法

私たちは、通信事業者がAIから最大の価値を引き出すための取り組みにおいて、信頼性、柔軟性、アジリティを高める一連の機能が存在すると考えています。説明可能なAI、カスタマイズされたAIモデルとユーザーインタフェース、クラウドネイティブアーキテクチャー、エリクソンのコグニティブソフトウェアは、ネットワーク設計と最適化ソフトウェアの特定のドメインでこれらの前提条件を満たすことにフォーカスしています。これが何を意味するのかを具体的にご説明しましょう。

説明可能なAIが救いの手を差し伸べる

説明可能なAIとは、透明性とオープン性を促進するモデルを構築する一連の方法とツールであり、お客様がアルゴリズムと結論の背後にある理論的根拠を理解できるようにします。AIモデルを理解してユーザーに説明することで透明性と認知度が向上し、信頼を築くことができます。RCR(Root Cause Reasoning)は、自動化されたネットワーク評価と提案に対する各KPI(Key Performance Indicator)の貢献度をユーザーが理解するのに役立ちます。RCRは、SHAP(SHapley Additive exPlanations)を使ってセル内のKPIの相対的な重要性を説明します。これによりユーザーは、AI分類器によって特定されたネットワーク上の問題の主な要因を完全に可視化できます。説明可能なAIを統合することで、通信事業者内外の意思決定が強化されます。

AIの内部構造を深く掘り下げることで信頼性が高まり、AIの大規模な導入が可能になります。また説明可能なAIはバイアスを軽減してAI規制に容易に適応する上でも有用です。

RCRをたとえばネットワーク最適化に適用した場合の効果は実証されています。2023年11月に発表された報告によると、RCRは最近スイスコムによって使われ、Umlaut Connect試験で世界最高記録を達成しました。

カスタマイズされたAIモデルとユーザーインタフェースでギャップを埋める

柔軟性の課題にはAIモデルの柔軟性とアプリケーションの柔軟性という二つの側面があります。

モデルの柔軟性について述べると、エリクソンのネットワーク設計および最適化ソリューションは、業界で最大かつ最も多様なグローバルデータセットで訓練されたAIモデルを活用しています。お客様はこれらのデータセットから生じる広範な集合的知識の恩恵を享受できます。またグローバルに訓練されたこれらのアルゴリズムは、ネットワークトポロジーなどのローカルな特異性を考慮することで大きなメリットを得られる場合があります。Automatic Cell Shapingはこうした例の一つです。通信事業者は必要に応じて現地に適応できる柔軟性を維持しつつ、AIモデルのパラメーターをカスタマイズするための完全な制御と柔軟性を手に入れ、ライフサイクル管理を簡素化し、最新機能のTTM(Time To Market)を短縮できます。

アプリケーションの柔軟性については、ユーザーインタフェースとアプリケーションを事業者の特定の運用手順のニーズに合わせて調整し、ワークフローとユーザーロールのバリエーションに対応できます。これらのカスタマイズされたワークフローにより生産性が向上し、アクションまでの時間を最小限に抑えられます。たとえば「ブックマーク」などの他の機能を使うことで、ユーザーは毎回設定を構成することなく、頻繁に使われる特定のレポートを生成できます。これらはすべて「クリック数」などの削減に貢献し、望まれる結果にユーザーがすばやく到達できるようにします。

これは継続的な改善サイクルです。システムに実装されたフィードバックループは、ユーザー体験の継続的な向上に役立ちます。最近の分析では、これらの柔軟性向上機能の導入により、ユーザーの満足度が20%以上大幅に向上したことが示されています。

クラウドネイティブアーキテクチャーにおける効率の最大化

エリクソンのコグニティブソフトウェアのアーキテクチャーはクラウドネイティブであり、既存のCI/CDパイプラインとのシームレスな統合を実現し、運用コストとインフラのコストを最適化し、DevOpsの開発手法を促進します。クラウドネイティブなアーキテクチャーにより、ダウンタイムなしでISSU(In-Service Software Upgrade)を実行できます。さらにトライアル環境やアドホック環境の迅速なプロビジョニングが可能になり、プロジェクトの期間が数か月から数週間に短縮されます。

コグニティブソフトウェアのコンポーネントはモジュール式なので個別に拡張でき、安全かつ最新のシステムを確保できます。上述のように、AIの運用を円滑に行うためにはモデルの訓練と再訓練が不可欠であり、モデルの更新のための新しいデータと演算能力に応じて定期的にスケールアップとスケールダウンを行う必要があります。クラウドネイティブはこうした運用を容易にし、AI運用を大規模にホストする最も効率的なアーキテクチャーとしての地位を確立しています。

まとめ:AI導入は加速可能で、エリクソンがそれをお手伝いします

私たちは、AI導入の三つの主要な課題である信頼性、柔軟性、アジリティに取り組むことで、世界中の通信事業者が新たなレベルの効率と卓越した性能に到達できると強く信じています。私たちエリクソンは、新しい機能の価値を加速するソリューションとサービスで、AI主導の自律型ネットワークを求める通信事業者の取り組みのすべての場面をサポートします。

もっとくわしく:

Transforming planning and optimization with AI – Ericsson

Network automation and AI – Ericsson

AI in Networks - Ericsson

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