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国家のデジタルブループリントとなるのか? モバイルネットワークでリーダーシップを発揮することから始める

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大手通信事業者は、サービス準備、信頼性、充実性が5Gネットワーク青写真の主要分野であり、デジタル化を更に支えると示しています。
*本ブログは2024年6月25日投稿の英語版の抄訳です。

モバイルネットワークは、真のデジタル国の基盤なの?

もちろん、現代の5Gネットワークは、30以上の飛躍的な機能拡張に基づき構築されており、企業、交通システム、都市全体のデジタルトランスフォーメーションへの道を開いています。

このことを認識し、先進的な国々は最新のモバイルネットワークを活用して国家競争力を高めており、そのためには先進的な通信事業者が必要です。通信事業者から何を学べるでしょうか?そこには青写真はあるのでしょうか?

通信事業者との議論から認識したのは5Gネットワーク青写真には、三つの重点分野があるということです。サービスの準備、信頼性、充実性です。

digital blueprint for nations

ネットワークのカバレッジ、容量、パフォーマンスへの投資は、サービスの準備において極めて重要です。

Focus area 1

重要ポイント:2029年までに、世界のモバイルデータトラフィックは、マルチクラウド、マルチエッジコンピューティング、アップリンク中心のユースケースに牽引され、3.4倍以上に増加すると予想されます。高トラフィックエリアを高密度化し、スタンドアローン(SA)コアによる、5Gミッドバンド全国展開は不可欠です。キャリアアグリゲーション(CA)は、カバレッジと容量を強化し、ユーザー体感とネットワーク効率化を最適化します。

ネットワーク需要の進化と新しいユースケース

ネットワークのカバレッジ、容量、パフォーマンスはサービス実現の中核となる柱です。しかし、時間の経過とともに、サービス準備の基礎も進化してきました。新世代のモバイルデバイス、サービス、ユースケースにより、ネットワークの容量とパフォーマンスは、新たな要求を課されています。全国でクラウドべースの生成AI (Gen AI)アプリや、エクステンデッドリアリティ (XR) をサポートするには、アップリンク容量を大幅に増加させ、低遅延と低ジッター対応も必要です。

世界のモバイルデータトラフィックは、2029年末までに約465EBに増加すると推定され、これは2023年末レベルの3.4倍以上です。デバイスエコシステムの急速な進化と、世界的なマルチクラウド、マルチエッジコンピューティングへのパラダイムシフトにより、アップリンク負荷が高い新たなモバイルユースケースが、商用の主流となります。これにより、シームレスなモビリティとサブメーターデバイスのポジショニングに対する、ネットワーク需要が高まるでしょう。 既に、業界設備は、更なる厳しいトラフィックパターンの要求を受けています。

サービスの差別化に対処するために十分な容量を確保

ローカル (都市部および屋内エリア) および広域 (地方や郊外エリア)に十分な容量を提供するには、高トラフィックエリアの継続的な高密度化と、スタンドアローン(SA)コアを備えた5Gミッドバンドの全国展開が必要です。これにより、固定無線アクセス (FWA) 、生成AIデバイスやユースケース、新しいウェアラブルデバイスでの高性能XRなどの新たな収入源が可能になります。5GはすでにFWA 接続数を牽引しており、 2029年までに3億3,000万世帯に達し、サービスプロバイダーの収益は、約750億米ドルになると予測されています。

キャリアアグリゲーション(CA)は、複数のローバンドとミッドバンド周波数帯を一つのストリームに集約する機能で、屋内や地方のカバレッジ、ピークデータレート、容量を実現する為に重要な5Gテクノロジーです。CAにより、ユーザーとモバイル事業者は、最高のユーザー体感やネットワーク効率の恩恵を受けられます。2バンド・3バンドCAが利用可能となり、スペクトル効率の高いアクティブアンテナシステムと組み合わせ、最適なリソースとスペクトル効率で、大容量カバレッジを実現する軸となります。SAコアネットワークからCAを制御し、5Gの全ての周波数帯(低、中、高) を活用することで、デジタルプラットフォームの青写真の基盤を形成します。初期の市場には、米国、日本、シンガポール、オーストラリアが参入し、更に多くが続くでしょう。

カバレッジと効率性をリードする

香港のSmarToneは、大量輸送を実現する鉄道ネットワーク沿いの、人口密集地域のネットワークカバレッジを拡大しました。SmarTone CTO Steven Chau氏はどのように5Gを中小企業のユースケースに導入し、広範なカバレッジを活用してアクセスが困難な地域や人口密集地域の課題を克服し、そして優れたネットワークパフォーマンスの評価を更に高めた方法について見識を共有しました。さらに、Steven氏はネットワーク運用と保守にAIを適用することで、ユーザー体感が向上した経験について強調しました。

エリクソンはこの変革の旅で何百もの通信事業者をサポートしています。最近ではセル全国商用ネットワークに初めて展開したSingtelも含まれます。展開の結果、セルスリープ構成が最適化され、年間平均で最大8%のエネルギー節約が実現しました。現在、シンガポールの5G SAの人口カバー率は95%です。これは Singtelがネットワークイノベーションとエネルギー効率化ソリューションに対し、積極的なアプローチをした結果です。

5Gスタンドアローン(SA)の重要性

5G SAでは、5Gの収益化を推進するために必須な5Gネットワークスライシングなど多くの機能が強化がされています。更に、5G SAは、コンテンツアクセスの時間短縮、サービスカバレッジの向上、ユーザーデータスループットの向上、バッテリー寿命の延長などで、ユーザー体感を向上させます。5Gネットワークを5G SAにアップグレードすることは、国のデジタルブループリント/将来設計の実現に極めて重要です。それは、シンガポール、インド、中国、米国などのアーリーアダプターからも分かります。

信頼感を得るのためセキュリティ、信頼性、完全性に投資する

Focus area 2

重要ポイント:セキュリティ、信頼性、完全性への投資は、ネットワークとサービスレジリエンスを十分に確保し、また企業や公共安全にとっても極めて重要なことです。ネットワークレジリエンスは、AI/MLの最適化とTSN (Time-sensitive Networking) などの標準化により強化されます。

この10年で、5Gは、企業、産業、金融セクター、エネルギーインフラストラクチャー、物流と輸送システム、その他重要な社会的および経済的インフラストラクチャーのデジタルバックボーンとして機能することになります。

信頼性、レジリエンス、完全性の重要性

ネットワークの信頼性と堅牢なレジリエンスとサービスレベルアグリーメント(SLA)の定義は、5G市場においてますます重要な取引可能なアセットになるでしょう。これは、NRAR(Network Reliability, Availability and Resilience) という用語に要約されています。

企業のリーダーは、将来の運用レジリエンスを強化するために、デジタル化と自動化への投資を増やしています。Ericsson IndustryLabからのデータによると、明確なレジリエンス戦略を定義している企業の内90%はデジタル化に移行しており、戦略を持たない企業よりも50%高くなっています

世界的なパンデミックは、企業や公共安全機関のレジリエンスとモビリティの必要性を浮き彫りにしました。5G以前の世界では、モバイルネットワークはオンライン電子取引、リモート教育、アプリエコノミーのユースケース、法人ビデオ通話サービスをサポートしていました。5Gにより、ネットワークは自動運転、遠隔診断、ミッションクリティカルサービスなどで、社会に更なる影響を与えることができます。拡張現実(AR)、IoT、AI、デジタルツインなどのテクノロジーの規模の調整は、レジリエンスの価値を再定義することになります。

レジリエンス戦略は、パンデミックへの備えだけで推進されるわけではありません。エネルギー危機、サイバー攻撃、自然災害も、今後10年間の企業のレジリエンス戦略を形作るでしょう。

将来のネットワークレジリエンスは、次のような様々なコンポーネントを通じて強化されます。

  • ネットワークスライスの差別化:特定のニーズに合わせネットワークスライスを調整
  • AI/MLネットワークの最適化:ネットワーク最適化に人工知能と機械学習を使用
  • 冗長性アプローチ: Time Sensitive Networking(TSN) や Low Latency Low Loss Scalable(L4S) などの標準を通じて、ネットワークの冗長性を確保

実世界のアプリケーション

L4Sは、最近ベルリンの道路で遠隔操作車両のデモンストレーションを行い、リアルタイムで渋滞リスクをうまくナビゲートし、大きな前進を遂げました  。これにより、クラウドゲーム、無人搬送車(AGV)、ドローンなどタイムクリティカルな新興アプリケーションの青写真が設定され、これらは、今後数年間で通信事業者に大きな収益機会をもたらします。

ネットワーク柔軟性とエクスポージャーに投資して、サービスを充実化

Focus area 3

重要ポイント: オープン API を通じてネットワーク柔軟性とエクスポージャーに投資することで、CSP はオンデマンド帯域幅やセキュリティ強化など、 5G 属性でのイノベーションを実現できます。創造性が育まれ、新しいアプリケーションに対応し、大きな収益機会を提供します。パートナーシップの活用と動的なネットワークスライシングが、企業の要件を満たしCSPの成長を促進する鍵です。

オープンAPIでネットワーク機能を解き放つ

統一されたオープンネットワークAPIや、ネットワークプログラマビリティを通じて、ネットワークの全機能を解き放つことは、社会や企業の将来のネットワーク進化と広範な技術革新を決定づける瞬間となります。

ビジネスを可能にする、オープンネットワークAPIの出現により、CSPは、クラウドプラットフォーム、ソフトウェアプロバイダー、アプリエコシステム、自社の運用において、ディベロッパーの新たな創造性を育むことができます。

このクロスサービスプロバイダー、クロスアプリケーションサービスプロバイダー「APIツールボックス」は、オンデマンド帯域幅、応答性、信頼性、デバイス情報、カバレッジ予測、またユーザー認証、省エネモード、強化セキュリティ、識別などの、パワフルな5G属性の動的集約をシンプルにします

5Gアプリのエコシステムは、特に企業セクターでの成長が予想されます。またこのシステムの運用コストは低く、規模の経済が有利に働く投資収益率が高い通信事業者にとって、大きな収益機会となります。今この機会に、通信事業者はこうした基本的なエコシステムを構築することで、早期に勢いをつけることができます。

最高のネットワークから最もスマートなネットワークへ

スイスコムCTIO ガード・ニヘイジ博士との対談で、彼は最高であるだけではもはや十分ではないと強調し、スイスコムがどのように 最高のネットワークから最もスマートなネットワークへ進化したのか説明しました。さらに、最高のネットワークを強固な基盤とするスイスコムは、エリクソンをパートナーとして「スマートなネットワーク」に変化しつつあります。外部デベロッパーは、顧客が求める、信頼性と柔軟性を備えた新しいアプリケーションで、クラス最高の顧客体験を提供できるようスイスコムを支えています。

5G対応デバイスのイノベーション

バルセロナで、ソニーはモバイルニュースレポーター向けの5G対応プロ用カメラを展示しました。Quality on Demand network APIを介し、優れた5Gアップリンクパフォーマンスを活用できるようにしたものです。このイノベーションにより、ケーブル配線、衛星通信車、面倒な設置が不要になり、コストが削減され、柔軟性が向上します。ダイナミックネットワークスライシングで、このような充実したネットワークサービスが実現するでしょう。既に完全に自動化された5Gネットワークスライシングの準備ができています。これは今後数十年のCSPの収益成長を支える非常に重要な機能になるでしょう。

この機会の中核となるのは、特定のサービス要件に基づいて段階的な価格設定を提供する新しいビジネスモデルです。これは企業のニーズを満たし、通信事業者の企業収益成長を促進するのに不可欠です。

近頃、インテルとマイクロソフトと共、複数のネットワークスライスをセルラー接続したノートパソコンに展開し、消費者と企業同時に使用する将来可能なシナリオを実証しました。このスマートフォンを超えた待望のデバイスエコシステムへの発展は、通信事業者が企業セグメントに参入するための入り口となるでしょう。

結論

通信事業者にとって、5G対応ビジネスは、短期的な収益機会と長期的な戦略的目標の両方のバランスをとる長期的なネットワーク投資サイクルを必要とします。早期の市場での成功は、将来の成長に向けた力強いスタートとなりますが、長期にわたる保証はありません。むしろ通信事業者は、カバレッジ、容量、パフォーマンス、セキュリティ、信頼性、完全性、柔軟性、エクスポージャーという八つのネットワーク側面でのネットワーク投資戦略が必要であり、これらは先導する通信事業者に優位性をもたらすでしょう。

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