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エリクソンCEO ボリエ・エクホルム、MWC2025を語る

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本資料は202533日に発表された報道資料の抄訳です。

エリクソン社長兼CEOのボリエ・エクホルム(Börje Ekholm)は、バルセロナで開催されたMWC2025(モバイルワールドコングレスにおいて、モバイル接続の進化こそがAIとクラウドテクノロジーの可能性を引き出し、デジタル化の新時代を実現させるうえで中心的な役割を果たすと述べました。

エリクソンのMWC 2025発表イベントでのボージェ・エクホルム.

エクホルムは、モバイル接続を含むこれらのテクノロジーの組み合わせであるデジタルスタックがその可能性を発揮するためには、それを構成する各要素が卓越したものでなくてはならないと述べました。

イノベーションを実現する将来のモバイルネットワークは高性能でプログラマブルであり、開発者に解放できるものでなくてはならないとエクホルムは述べています。また接続性がなければクラウドとAIは拡張できないとも述べています。

エクホルムによれば、モバイル接続は従来の消費者市場を超え、デジタル化に中心的な役割を果たす存在になりつつあります。

「高性能のネットワークは非常に重要です。高性能とは優れたカバレッジ、優れた通信速度、低遅延性、非常に高いコスト効率とエネルギー効率を意味します。AIアプリケーションの開発が進むにつれて、これらの重要性はさらに高まるでしょう。プログラマビリティは特に重要だと私は主張します。その意味をご説明しましょう。これまでは単一の消費者アプリケーション向けのネットワークがありました。ミッションクリティカルなネットワークは別にあり、企業向けのネットワークもありました。すべてのアプリケーションには独自のネットワークがあったわけです。将来的にはこれらのすべてが同じネットワークになります。つまりネットワークをより柔軟かつ簡単に管理する必要があるのです。そこでプログラマビリティの出番です」

エクホルムは、エリクソンがデジタル化の推進に必要なプログラマビリティと高性能のケイパビリティを提供するために研究開発への投資を続けている根拠として、最近のポートフォリオ強化と実装を挙げています。

テルストラのプログラマブルネットワーク

オープニングセッションではテルストラCEOのヴィッキー・ブレイディ(Vicki Brady)が、同社がエリクソンと提携してアジア太平洋地域初のプログラマブルネットワークを開発するという最近の発表について語りました。
「お客様は接続性をクリティカルなものと見なしています。消費者であろうと、企業カスタマーであろうと、ネットワーク上の体験は重要です。根本的にこの投資によって、5Gの性能、回復力、信頼性が向上することは間違いありません」

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したテルストラCEOヴィッキー・ブレイディ

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したテルストラCEOヴィッキー・ブレイディ

ブレイディはまたネットワークのプログラマビリティとネットワークAPIについて、エコシステムを開放し、ネットワーク機能を公開するAPIを有することで、事業モデルの変化が通信業界に新たな機会をもたらすと述べました。

差別化された接続性のユースケース – ARグラス

エクホルムは、通信事業者が差別化された接続性から得られる利益の例を挙げています。

ARグラスを例にとってみましょう。それはどのように機能するのか。まずアプリケーションを理解し、次に必要な特定のサービスレベルを知る必要があります。ARグラスの場合は超低遅延性、非常に高いアップリンクとダウンリンク、ネットワークへの容量の通知が必要になります。これにより動的に発生するネットワークスライスが生成されます」

エクホルムは続けます。
「その後ネットワークは、アプリケーションに必要なサービスレベルに調整されます。それを実現する方法はネットワークAPIの活用です。つまりARグラスアプリケーションに取り組んでいる開発者は、ネットワークAPIをいきなり呼び出して実際にアプリケーションで使うことで、それを市場に投入できるのです」

エリクソンプライベート5G

エクホルムはまた、エリクソンの企業戦略とポートフォリオについて、プライベート5Gが産業のデジタル化において重要な役割を果たしていると述べました。

エクホルムはエリクソンプライベート5Gがトランスフォーメーションに果たした貢献の例として、最近発表されたジャガーランドローバーとの英国ソリフル複合施設でのパートナーシップを挙げました。

「これによりユースケースの自動化が可能になります。これは従来の固定接続では実現が困難でした。無線接続が必要なのは、柔軟性が大幅に向上するからです。これは素晴らしい企業向けユースケースですが、ショーフロアにあるファーストレスポンダーの事例など、より広範なミッションクリティカルなユースケースへの展開も考えています」

ネットワークAPIとアドゥナ (Aduna)

エクホルムは続けて、エリクソンをその設立メンバーとして最近設立され、ネットワークAPIを通じて高度なネットワーク機能にアクセスするための新しいエコシステムの構築を目指すアドゥナについて、次のように述べました。

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したエリクソン社長兼CEOボリエ・エクホルム

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したエリクソン社長兼CEOボリエ・エクホルム

「ベンダーとして、私たちは5Gのケイパビリティについて話してきましたが、収益の創出にはまだ繋げきれていません。その収益化の実現こそが今私たちが取り組んでいることです。世界有数の通信事業者と合弁会社を設立することで、現時点でネットワークAPIの供給を生み出します。供給がない限り需要はありません。これは鶏が先か卵が先かの問題ですが、私たちはそれに対処しようとしています」

エリホルムはエコシステムが成長している証拠として日本のKDDIカナダのEnStream米国のAT&TT-Mobile、ベライゾンといった最近の複数のアドゥナの発表を挙げました。

「次の重要な段階は、私たちが今まさに需要を生み出してるということです。私たちはアプリケーション開発者や企業からの需要を生み出しています。SinchInfobipなどの新しいチャネルパートナーが契約しており、さらにGoogle CloudVonageも参加しています。こうしてネットワークAPIを中心としたエコシステムを構築し、通信事業者がグローバルにアプリケーションを販売できるようにしています。これはとてもエキサイティングだと思います」

ローンチセッションには、最近アドゥナのCEOに就任したアンソニー・バルトロ(Anthony Bartolo)も登壇しました。

バルトロは次のように述べています。
「私たちの業界では、モノを開発し、それを特定の場所だけでなく、世界中のあらゆる場所で確実に機能させることが大きな課題でした。私たちは通信事業者のエコシステムとネットワークAPIのエコシステムを結び、それを需要側とつないでいます。グループの各成員は、世界各地の特定のスペースに留まるのではなく一緒に集まることで、はるかに大きなメリットが得られることを知っています。私たちがこれを行うことで、世界は信じられないほど小さくなることでしょう。イノベーターの視点から見ると、かならずしも車輪を再発明する必要はないのです」

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したアドゥナのアンソニー・バルトロCEO

エリクソンのMWC 2025ローンチセッションに登壇したアドゥナのアンソニー・バルトロCEO

またバルトロは、アドゥナのグローバルエコシステムがビジネスや企業にもたらすメリットについても触れました。

「ほとんどの企業は縮小ではなく拡大したいという願望を持っています。規模を拡大する一つの方法は、世界中の複数の国で事業を展開することです。世界中の複数の国で事業を展開するには、さまざまな管轄区域の規制の枠組みや要件を理解すことから始めるわけです。企業として国外に進出してそれらのことを学ぶのが果たして最善なのでしょうか。その代わりに誰かがそれを簡素化し、ネットワークAPIを基本的に民主化し、その管轄区域にあるすべてのネットワークの利点を、詳細に関わることなく利用できるようにしたらどうでしょう。これによって企業とカスタマーとの間の摩擦が減ります」

バルトロは、アドゥナはMWC 2025で発表された内容を含む最近の急速な勢いを足がかりに、エコシステムに新たなパートナーを迎え入れることを期待していると述べました。

「デベロッパーの皆様、これからの数年間で発表される機能に期待してください。エコシステムに参加する人や組織が増えると、アプリケーションとその開発の方法に革命を起こすことができます。その可能性に本当に興奮しています」

最後にエクホルムは、消費者向けモバイルブロードバンドを超えて進むデジタル化において接続性が中心的な役割を果たすことの重要性を強調しました。

「私はよく、無線化できるものはすべて無線化されると言っています。私たちは、単一のネットワーク上で多くのアプリケーションが実行される世界に移行しています。私たちは、高性能のプログラマブルネットワークの利点が、実際のビジネスチャンスに結びつくのを目の当たりにするでしょう。プログラマビリティとネットワークの高性能化に投資している通信事業者は実際に有利な立場にあります。事業者は、私たちが見ているこの拡大した収益プールを活用できることでしょう。それは本当にエキサイティングです」