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10大消費者トレンド

10大消費者トレンド

気候変動の影響下の未来の生活

消費者に影響する気候変動

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サイバーフィジカルシステム。コネクティッドオートマティックホーム。パーソナルAIアシスタント。装着しても目立たない軽量デバイスによる複合現実体験。これらはすべて、今後10年の間に日常生活におけるコネクティッドエクスペリエンスとなる可能性があります。次の10年間の日々の生活において日常的な接続体験になる可能性があります。しかし技術が急速に進歩するにつれて、消費者は気候変動という別の影響の強まりも目の当たりにすることでしょう。

Report

接続サービスを使った適応

 今後10年間で技術的、環境的、社会的な変化が急速に進展する可能性がありますが、日常のライフスタイルとニーズは一般に、より緩やかなペースで発展します。消費者は依然として仕事や学校に通い、友人や家族を想い、人生を楽しみ、月末まで給料を稼ごうとすることでしょう。しかし温暖化した世界では、地球規模で食料生産からエネルギー供給に至る一連の変化をもたらし、それが社会に新たな課題を突き付ける可能性があります。今日、コネクティッドデジタルツールは、数え切れないほどの日々の雑用や障害を処理するのに役立っていますが、これらのサービスは今後どのように進化するのでしょうか?

 世界の主要30都市に住む15~69歳のAR、VR、デジタルアシスタントの都市型アーリーアダプター15,145人に、より温暖な2030年代の世界での生活を想像してもらいました。そして、この未来シナリオに対して、日常生活における気候関連の適応策から、切迫した気象現象への対処法まで、15のデジタルサービス・コンセプト領域を評価してもらいました。回答者は、調査対象の大都市圏に住む3億2,500万人のうち7,500万人の市民を統計的に代表していますが、これは世界の消費者のごく一部にすぎません。しかし2030年代の気候シナリオにおいて、消費者が情報通信技術を日常生活にどのように使うかを探る上で、このようなアーリーアダプターのプロファイルが重要だと考えています。

59%

都市部のアーリーアダプターの10人中6人が、気候変動がもたらす多くの課題を解決するには、将来の技術革新が不可欠であると述べています。

 テクノロジーに精通した消費者が、不安定な気候の中で日常生活に対処するうえで、インターネットと継続的なデジタル化を不可欠なものと見なしていることは驚きではありません。実際、都市部のアーリーアダプターの59%は、気候変動がもたらす多くの課題を解決するには、将来の技術革新が不可欠だと述べています。都市部のアーバンアダプターの10人中8人が、2030年代には1.5℃以上の地球温暖化が起こると考えており、54%は地球温暖化が自分たちの日常生活に直接的な悪影響を与えると予想しています。つまりテクノロジーを使って日常生活における気候変動の影響に適応することは理にかなっており、99%もの人が、毎日の気候変動の影響に適応するのに役立つサービスの少なくとも一つを個人的に使いたいと回答しています。

 アーリーアダプターがこれらの開発中のサービスを使う主な動機は、コストの上昇を抑えたり、個人的な生活習慣を維持したりすることです。しかしこれらの目標を達成した消費者にとっては、環境のために最善を尽くすことが次の強い動機になります。つまり、ほとんどの消費者にとって気候変動が深刻な懸念である一方で、差し迫ったニーズと個人の経済的状況の懸念に集中していることを示しています。

 また消費者が最近の経験に基づいて将来の傾向を予測する点も重要です。世界中の消費者は最近、高インフレ、エネルギー不足、凶作、サプライチェーンの混乱を驚くべき規模で引き起こしているCovid-19のパンデミック、極端な気象災害、地政学的紛争にさらされています。これらは個人の経済的状況とライフスタイルに関する深い懸念につながり、それがこのレポートにおいてテクノロジーに対する彼らの見解に反映されています。現在の消費者は、コストとエネルギーを節約し、安全を感じ、よりスマートな意思決定を行い、気候に優しい方法でデジタル体験を楽しむために、サービスプロバイダーに対してさらなる期待と要望を寄せているのです。

10の注目すべき消費者動向

コストカッター

デジタルサービスは、不安定な気候状況に直面している世界で、消費者が食料、エネルギー、旅行のコストを抑えるのに役立ちます。

切断されない接続

異常気象の増加に伴い、信頼性と回復力に優れたインターネット接続がより重要になります。

 

急がないモビリティ

気候規制とエネルギー効率化が日々の柔軟性の意味を変えるにつれて、時間厳守は過去のものになるかもしれません。

セーフ(SAIfe)キーパー

気候規制とエネルギー効率化が日々の柔軟性の意味を変えるにつれて、時間厳守は過去のものになるかもしれません。

新しい労働環境

企業のCO2排出量の制約、コストの上昇、デジタル化の加速が、将来の働き方を形成します。

スマートウォーター

淡水が不足する可能性があるため、消費者は水を節約して再利用するスマートな水サービスを期待しています。

エネルギー経済

デジタルエネルギー共有サービスは、2030年代に上昇するエネルギーコストの負担を軽減する可能性があります。

少ないほどデジタル

物理的な過剰消費が高価になり、社会的に受け入れられなくなると、デジタル製品の交換がステータスマーカーになるかも知れません。

 

ネイチャーバース

2030年代には、継続する気候変動と旅行制限の可能性に起因して、旅行せずに都市部で自然を体験することが普通のことになるかもしれません。

気候詐欺

消費者は、より厳しい環境規制やエネルギーと水の配給制による不便や価格高騰を回避する方法を見つけるだろうと考えています。

1 コストカッター

 消費者は、現在の財政状況における月々の予算の減少をますます意識しています。日用品の価格の上昇を目の当たりにした消費者は、最善の節約方法を決定し、当面の生活費を下げる必要があります。

 この状況は、厳しい気象現象がより頻繁に発生する温暖化した2030年代の世界では、さらに悪化する可能性があります。調査によると、気候変動が作物の不作につながり、食糧不足とその後の食糧価格の上昇を引き起こす可能性があります。同様に、電化と再生可能電力のニーズ増大、世界の中流階級の成長、成長を続ける80億の世界人口は、エネルギー需要の拡大とコスト上昇の可能性をもたらす変数のほんの一部に過ぎません。都市部のアーリーアダプターの60%以上が将来の生活費の上昇に懸念を表明しており、消費者は確かにプレッシャーを感じています。同時に、より持続可能な消費に向かう消費者にとってコストが重要な指針になる可能性もあります。

 2030年代の消費者はこの状況にどう立ち向かうのでしょう。都市部のアーリーアダプターの大半は、デジタルサービスが日々の課題に対処する柔軟な手段を提供すると考えています。

コストカッター
63%

都市部のアーリーアダプターの60%以上が、将来の生活費の上昇を懸念しています。

 都市部のアーリーアダプターの80%以上が、家庭の不要なエネルギー消費を削減するために、個人用の電力消費量モニターを利用できるようになると考えています。回答者のほぼ半数は、2030年代にはこれらのモニターを個人的に使って家庭のエネルギー使用量を測定し、電化製品に電源が入ったままであればアラートを受け取れるようになると考えています。同様に、76%の人が、電気自動車が地域の電力網のバランスをとるためのバッテリーとして利用され、電気自動車の所有がより安価になると予想しています。

 食料コストの削減に関しては、都会のアーリーアダプターの73%が、2030年代にはコネクティッドレシピアシスタントが使われるようになると考えており、35%が個人的に使用すると述べています。回答者は、日々の食品の価格を監視し、費用対効果が高く栄養バランスの取れた食事の調理を提案するアシスタントを想像しています。約76%が、食料品店で賞味期限が迫った値下げ商品を利用できるよう、AIを利用した食品価格オプティマイザーが使われるようになると考えています。また10人中7人が、気候関連の被害により商品が値下げされたときに通知するアプリが役立つ可能性があると述べています。

 都市部のアーリーアダプターは、消費者がテクノロジーを使って交通費や通勤費を削減し、持続可能なモビリティをサポートする方法を見つけるだろうと予測しています。たとえば10人中8人が、将来の定期券は、CO2排出量を削減するためにルートや交通手段を変更することで消費者に割引を提供するようになると考えています。同様に4分の3の回答者は、徒歩圏内での活動の計画と選択を支援し、エネルギー消費を削減してコストを削減するためにAIアシスタントが使われると考えています。

2 切断されない接続

 現代社会の消費者は、水道、食料、住居、電気に加えて接続性も日常生活に不可欠のものと見なしており、それは過去の破壊的な出来事で証明されています。パンデミックで経験したように、接続性があれば、個人は家族や友人と連絡を取り合い、自宅で学校や仕事を続けることができます。社会と企業のレジリエンスを高めるより安全で信頼性の高いインターネットと通信サービスは、都市部のアーリーアダプターによって2030年代において2番目に重要なトレンドと見なされています。

 しかし気象現象が接続自体に影響を与える場合はどうなるでしょうか。危険な状況では、携帯電話による接続とインターネットへのアクセスは、情報を入手したり、助けを求めたり、愛する人に連絡したりするために不可欠です。

 都会のアーリーアダプターは、暴風、山火事、洪水、熱波によって外界との通常の接触が妨げられる可能性がある未来でも、接続を維持したいと考えています。約80%が、洪水、暴風、火災、その他の災害に見舞われた地域であっても、最適なカバレッジで人々を安全な場所に導くスマート信号ロケーターが登場すると考えています。10人中4人が、2030年代にこのような信号探知機を個人的に利用すると答えています。

切断されない接続
80%

アーリーアダプターのほとんどは、2030年代には自然災害時に最善のカバレッジエリアを示すスマート信号ロケーターが登場すると考えています。

 4人に3人が、携帯電話事業者は異常気象の際にもネットワーク接続を提供し続けるレジリエントな契約プランを提供すると考えています。10人中4人近くが、他のすべてのネットワークがダウンしているときに利用可能な接続や衛星にアクセスできるアプリとともに、そのような加入を個人的に使うと回答しています。今日の最新のiPhoneは衛星緊急サービスを提供しており、このようなサービスがさらに普及する可能性を示しています。

 もっとも都市部のアーリーアダプターは、将来のネットワークは、個人のデバイス、自動車、公共インフラのセンサーが、気候イベントを集団で追跡し、接続された近くのユーザーにクラウドソーシングされた警告システムを提供することで、災害の警告と防止に役立つ可能性があると考えています。危険回避に役立つ個人的なローカル気象警報が加入の一部になれば、結果として2030年代の接続プロバイダーは、最善のローカル天気予報をめぐって競争することになるでしょう。約3分の1の回答者がそのような警告サービスに登録したいと回答し、多くの回答者が、避けられない災害が発生した場合にタイムリーなピックアップを保証するレスキューサービスへの登録を希望しています。

3 急がないモビリティ

 工業化時代と化石経済を象徴する機械があるとしたら、それは製鉄所や自動車ではありません。それは消費者が過去100年間生きてきた、高度に時間同期した労働文化と1日を全体とするスケジュールのライフスタイルの始まりをもたらした発明、すなわち小型の腕時計です。しかし気候関連の要求は、同期された時間とはまったく異なる社会組織の原則をもたらす可能性があります。それはエネルギーの利用可能性と物理的な移動への影響です。

 都市部のアーリーアダプターの10人中7人は、消費者が、時間効率ではなくエネルギーコストの変動に基づいて毎日の活動を計画するスケジューラーを持つようになると考えています。これはすべてを変える可能性のあるパラダイムシフトです。

 日常生活は、時間通りに学校や仕事に行くといった予測可能なモビリティに依存しています。しかしそれが変わるとどうなるでしょうか。10人中4人もの人が、2030年代までに、エネルギーのオフピーク時の移動にボーナスを提供する接続された定期券を使うと述べています。さらに多くの人が、最も安い料金で車を充電できる時間と場所に基づいて移動に最適な時間を見つけるアプリを使うと述べています。これらはすべて9時~5時までの硬直した生活に柔軟性を与えるものです。ラッシュアワーの交通がエネルギー時間ベースの通勤に代われば、移動の時間帯は人によってさまざまな時間に発生するので、エネルギー使用量がピーク時から分散されます。

急がないモビリティ
68%

ほとんどの消費者は、時間効率ではなくエネルギーコストに基づいて最適化するスケジューラーを使って活動を計画することでしょう。

 ただし通勤はその一面に過ぎません。モビリティの制約の高まりは、すべての消費者活動とすべての場所に影響を与える可能性があります。4分の3の回答者が、特定の日時ではなく、最もコストとエネルギー効率の高い方法で目的地に到着できる旅行プランナーを予見しています。マイクロモビリティや家庭内のイベントでさえ、根本的な変化に備えています。約65%の回答者は、消費者が希望の日付や時間ではなく、自宅のバッテリーの充電レベルに基づいて活動をスケジュールするAIプランナーを使うことを予想しています。

 たとえば消費者があるイベントのチケットを予約したものの、時間の指定を望まない場合はどうでしょうか。2030年代の観客は、よりインタラクティブなサンドボックススタイルの体験を提供する最先端のARおよびVRテクノロジーを利用できます。これらのテクノロジーは、観客が現実世界と同じように、イベント参加者の全員を見て物理的に交流できる没入型の仮想体験を実現します。連続的でない構造により、視聴者はいつでも見逃さずにイベントを開始し終了できます。都市部のアーリーアダプターの約3分の1が、参加できるイベントの時間を柔軟に調整できる接続されたイベントチケットの購入を予想していることを考えると、時間的な制約が厳しくないこの種の市場は間違いなく存在することになるでしょう。

4 セーフ(SAIfe)キーパー

 社会全体が、あらゆる種類の壊滅的な天候に備える必要があります。気候変動が進むにつれて地球規模で気象システムがさらに混乱し、天気予報、そして最終的には私たちの日常生活に、複雑性と予測不可能性がもたらされます。また、通常は異常気象が発生しにくい地域に住んでいる個人も、破壊的な出来事を経験する可能性があります。2021年に米国とカナダの北西部に発生したヒートドームは海洋生物を死滅させ、山火事が町全体を飲み込むほどの熱波をもたらし、最終的に降った雨は、洪水や土砂崩れが発生するほどの激しさになりました。この地域は自然の美しさと快適な夏の気温で知られていたため、ほとんどの住民はこのような状況への対策を講じたり、これらが発生する可能性も考えていませんでした。

 パーソナライズされた気象警報システムが、予想外の天候の変化についてリアルタイムのアドバイスを提供できると想像してみてください。都市部のアーリーアダプターの10人中8人以上が、2030年代にはそのような警告サービスが存在すると考えており、半数近くが自分自身の安全のためにそのようなサービスを利用したいと考えています。実際に国連は2022年に、2027年までにすべての人々に到達できることを目標とした人命救助と被害回避のための早期異常気象警報システムの取り組みを開始しています。75%の回答者は、避難中に侵入した泥棒を警察に警告する、気候災害に対応した家庭用警報システムも予想しています。

セーフ(SAIfe)キーパー
45%

都市部のアーリーアダプターのほぼ半数が、安全のためにパーソナライズされた気象警報システムを使うと回答しています。

 3分の1の回答者は、極端な天候から身を守るために、非常用ヒーターと膨張式救命胴衣、あるいは暑さや寒さへの対応状況を測定し、必要に応じて医療関係者に警告する身体センサーを内蔵した、インテリジェントな極限気象用ジャケットを着用することを検討しています。

 都市部のアーリーアダプターは経済的な不安から、気候変動の影響と不安を考慮して、経済状況を改善する方法を見つけたいと考えています。都市部のアーリーアダプターの4分の3は、次の10年でAIサービスが異常気象に備えるために住宅改善への投資を支援する可能性があると述べています。3分の1の回答者は、AIサービスを使ってグリーンテクノロジーに投資し、気候危機の経済的影響から身を守ることにも関心を持っています。

5 新しい労働環境

 パンデミック以来、働き方の柔軟性はホットな話題となっています。その結果、少なくとも勤務体制の一部として在宅勤務の柔軟性を維持したいと考える多くの個人が社会で見られるようになるでしょう。さらに消費者は2030年代に新しい働き方が出現することを予想していますが、個人的な嗜好よりもむしろ気候変動がその契機となります。

 企業や従業員が気象関連のコスト増加や企業のCO2排出量報告の厳格化に直面すれば、新しいタイプのデジタルサービスの利用が日常業務の一部になるかもしれません。都市部のアーリーアダプターの4分の3は、オフィス、生産環境、現場、自宅のどこでも、ピーク時の電力消費を避けるために就業日をスケジュールするAIサービスが登場すると考えています。このようなサービスは一見単純に見えますが、社会全体の文脈では、人々の働き方を根本的に変えることになるでしょう。このシフトは、「週末」の概念さえも排除し、その代わりに日常の活動はより柔軟に分散されたエネルギー使用を中心に展開することになるかもしれません。

 進化した職場では、従業員についてまわる、エネルギー効率の高い個人的な小さな気候状態を作り出すことも必要になるかもしれません。都市部のアーリーアダプターの3分の1は、自分を追跡して個別の冷暖房を提供する空調システムを使うことになると考えています。フィットネスも作業とリアルタイムで統合される可能性があります。。3分の2の回答者は、フットペダル付きのオフィスチェアを使うことで仕事中に運動したり発電したりできるようになると回答しています。

新しい労働環境
72%

10人中7人が、企業のAIアシスタントが通勤、タスク、リソースを計画して、業務関連のCO2排出量を最小限に抑えることを予測しています。

 在宅勤務者は没入型のデジタルプレゼンスを実現するAR/VRデバイスで、通勤の手間を省くことができます。このイノベーションは、現在AR/VRを毎週使っているユーザーに特に高く評価されており、AR/VRをまだ使っていないユーザーの37%と比較して、49%がそのようなデバイスを個人的に使いたいと考えています。同様に毎週AR/VRを使うユーザーの半数以上が、ARグラスでPCやその他すべての作業機器を完全に置き換えることを望んでいます。

 最後に4分の3の回答者は、企業が職場と自宅を切り替える柔軟性を維持するために、通勤、タスク、リソースを計画して業務関連のCO2排出量を最小限に抑えるのに役立つAIアシスタントを導入することを予測しています。

6 スマートウォーター

 世界人口の約半数は、人間の基本的なニーズであるきれいな淡水を定期的に利用することができません。ユニセフによると、40億人が毎年少なくとも1ヶ月間にわたって深刻な水不足を経験しています。干ばつは、淡水の減少につながる気候変動の兆候の一つですが、その他にも都市化、大規模な農業用灌漑、無駄な水の使用などの要因もあります。いくつかの地域では帯水層が補充されるよりも速く水が汲み出されています。一方で10億を超える人々に水を供給している大河川は、氷河の融解水が減少するにつれて縮小していくでしょう。

 都市部のアーリーアダプターは、淡水の供給量が差し迫って減少していることを考えると、水の消費量を監視するセンサーを家庭に組み込むアイデアが有益であると考えています。46%が、水の節約を支援するために、水道の蛇口が開いたままになっていたり、家庭内で異常な水の使用があった場合に通知するセンサーを使用すると回答しています。

 一方で貯水池や川を汚染する洪水を引き起こす極端な降雨も、真水の供給にとって同様に困難な課題です。都市部のアーリーアダプターのほぼ半数が、雨が降り始めると開くインテリジェントなスマートウォーターキャッチャーを使い、屋根、バルコニー、窓に降った雨水をとらえて清浄化することを予測しています。サンパウロなどの一部の都市では、10人中6人もの人が10年以内にこの技術を導入したいと回答しています。

スマートウォーター
46%

都市部のアーリーアダプターのほぼ半数が、雨が降るとインテリジェントに開いて屋根、バルコニー、窓に降った雨水を集めてきれいにするスマートウォーターキャッチャーを家庭で使うと回答しています。

 水の配給制度は現在も存在しますが、今後10年でより一般化する可能性があります。アーリーアダプターの約64%は、2030年代までにすべての市民に対する毎月の水使用可能量をデジタルな手段で規制することになると予測しています。また半分以上が、消費者が自分の水道割り当てを最高入札者に販売できるモバイルアプリ市場が誕生する可能性が高いと述べています。同時に3分の2は、飲用水を浄化および淡水化するナノボット強化型のウォーターボトルが登場すると考えています。

 約3分の1の回答者は、水を衛生のために使わないで済ませることさえ考えています。都市部のアーリーアダプターは、たとえば水を使わずに消毒する臭気スキャナーを備えたバスルームを予想しています。シャワー、洗濯機、食器洗い機も、汚れた部分だけを洗うナノボットクリーナーに置換できます。回答者はまた、汚れやバクテリアを寄せ付けないナノマテリアルで作られた、洗濯の必要のない服にも可能性を見出しています。

7 エネルギー経済

 国連IPCCの第6回報告書によると、再生可能エネルギー源への切り替えは、温室効果ガスの排出を削減し、化石燃料を置き換える最も費用対効果の高い方法の一つです。同時に社会を脱炭素化するためには、クリーンな電力の需要を増やし、よりスマートにエネルギーを節約して消費する方法を見つけることが必要です。

 エネルギーへのアクセスが制限される可能性がある時代に、都市部のアーリーアダプターが、エネルギー使用のバランスを取り、費用を削減するアプリ制御の家庭用バッテリーなどの省電力技術を求めることは理解できます。気候変動を懸念する人の約53%が将来この機能の利用を契約すると回答し、また10人中4人は、バッテリーに取り付けて残量を知らせる家庭用AIエネルギーシステムを望んでいます。

 都市部のアーリーアダプターは、発電してお金を稼ぐ機会にも目を向けています。4人に3人が、2030年代には自宅にあるAI制御の小型ソーラーパネルや小型風力タービンから得たエネルギーを販売することが当たり前になると考えています。

エネルギー経済
65%

エネルギーは通貨になるかもしれません。都市部のアーリーアダプターの65%が、2030年代の消費者はモバイルアプリを使って商品やサービスの代金をkWhで支払うことができるようになると予測しています。

 エネルギーへのアクセスは日々の生活に必要不可欠なので、都市部のアーリーアダプターは、消費者がエネルギーバンクを持つようになると予測しています。銀行の預金口座のように、エネルギーを大量に消費する活動や欠乏時に備えて貯蓄する方法です。3分の1は、家族が休暇や旅行のためにエネルギー資源をプールして節約できるオンラインのエネルギー貯蓄口座を望んでいます。AI予測を使い、停電等が発生した場合に近隣でエネルギー使用をプールできるようにする、周辺地域のバックアップバッテリーを望んでいる人もほぼ同数います。

 エネルギーもお金と同じように貯めることができるのなら、お金として使ってみてはどうでしょうか。10人中6人以上が、2030年代の消費者はモバイルアプリを使ってkWhで商品やサービスの支払いができるようになると考えています。さらに半数以上が、消費者が物理的な贈り物を持参する代わりに、パーティーに必要なエネルギーを贈ることができる「エネルギー持ち寄りパーティー」アプリが登場すると考えています。

8 少ないほどデジタル

 大量の買い物をしたときの罪悪感は、多くの人に共通する感情です。今日のほとんどの消費は、物理的な商品を中心に展開しています。仮想物品の消費は存在しますが、それはゲーマーがゲーム内で購入したり、ユーザーがソーシャルメディアプラットフォームでキャラクターの服やその他のアイテムを購入するなど、主に仮想ゲームの世界に導入されています。

 2030年代のより温暖な世界では、サプライチェーンの混乱により物理的な商品の生産がより難しくなり、コストの増加につながる可能性があります。食料、衣服、住居などの必需品は別として、消費者は物理的な商品の消費の一部を、デジタルの代替品に置換できるのでしょうか。都市部のアーリーアダプターの意見では、その答は「イエス」です。具体的には72%の回答者が、2030年代には物理的なショッピングを代替するデジタルアイテムを提案するショッピングアプリが使われると考えています。たとえば子供のためにデジタルのおもちゃを購入したり、デジタルのペットを飼ったりできます。このようなデジタル所有権はAR/VRユーザーの間で特に人気があり、3分の1以上が2030年代にこのタイプのサービスを個人的に使うと回答しています。さらに64%は、おそらくコネクティッドAIが、すでに持っている品の可視性を高めたり、単純に必要性に疑問を投げかけたりすることで、消費者の不必要な購入を防ぐようになると考えています。また3分の1以上が、2030年代にコネクティッドAIサービスを個人的に使うと予測しています。

少ないほどデジタル
34%

都市部のアーリーアダプターの3分の1が、物理的な製品の代わりにデジタルの代替品を提案するショッピングアプリを個人的に使うと考えており、消費習慣の非物質化が加速する可能性があります。

 パッケージングもまた、資源効率の高いソリューションに対する一般の人々の関心が高まるにつれ、2030年代にはデジタル化が進むと都市部のアーリーアダプターは考えています。たとえば75%の回答者はAR/VRデバイスによってブランディングや製品情報をデジタル化しパッケージから排除することに役立つと考えており、10人中4人がこの種の環境への影響が少ないパッケージを個人的に使うと述べています。

 物理的な製品だけでなく、物理的な移動もデジタル化される可能性があります。消費者が自宅で運動できるのであれば、悪天候でもジムに行くというのはもはや良い考えとは思えないでしょう。都市部のアーリーアダプターの約77%は、2030年代にはAR/VRグラスを使ってどこからでもフィットネスクラスに参加できるようになると考えています。

9 ネイチャーバース

 研究によると「緑の空間(森林)」であるか「青い空間川、湖、海)」あるかを問わず、自然が人々の肉体的健康のみならず精神的健康も改善することがわかっています。英国ではメンタルヘルスの問題を治療するために「ブルースペース」療法が医師によって処方されており、有望な結果が得られていますしかし自然を楽しむことは、都会の住人にとっては難しいことです。温暖化が進んだ世界では、異常気象のある地域への旅行は危険かも知れませんし、旅行費の上昇や環境への懸念制限要因になる可能性ありますしたがってアーリーアダプターが移動せずに自然に親しめるテクノロジーソリューションを求めるのは当然のことです。 

 2030年代の都市部のアーリーアダプターは自然を場所ではなく経験ととらえるようになるかもしれません。3分の2の回答者は、波の音を聞いたり暖かい潮風を感じたい消費者デジタルな手段で海に連れていくVRボートが受け入れられると考えています。約73%の回答者が、ARグラスを使って一家でリビングルームからサファリに出かけると考え、65%が完全なスキーやスケート体験をシミュレートするVR装備のボディスーツを着てツアーに参加することを予想しています。VRを搭載したお風呂では、消費者は最小限の水で湖で泳ぐことができます。また仮想旅行サービスにより、消費者はリアルタイムで自然保護区や登山道を、あたかもそこにいるかのように体験できます。2030年代になっても依然として自然体験の必要性と楽しみは大きいことでしょう。消費者自然の中に入る代わりに自然を自分の側に持ち込むことができるようになるかもしれません。 

ネイチャーバース
39%

都市部のアーリーアダプターの10人中4人は、自然保護区や登山道をリアルタイムでそこにいるかのように体験できるバーチャル旅行サービスを個人的に利用したいと考えています。

 都市部のアーリーアダプターがテクノロジーが役立つと信じているもう一つの分野は、自然に簡単にアクセスできる人とアクセスできない人との間の学習機会のギャップを埋め、自然を観察して学習する際に人間が自然与えるダメージを最小限に抑えることです。たとえば76%の回答者が、生徒はAR/VR教室により、物理的な侵襲を伴わずに自然について学び、体験できると考えています。

10 気候詐欺

 国連のグテーレス事務総長は2022年気候変動会議(COP27)の開会スピーチで、「私たちは気候地獄へ向かうハイウェイ上でアクセルを踏み込んでいる」と述べ、短期的な無節制が将来的に悪影響をもたらすことを強く訴えました。

 残念ながら、未来を軽視するのは人間のごく普通の行動です。古典的な例の一つは、今日の1ドルは明日の1ドルよりも価値があるという考えです。多くの消費者が将来の気候への影響を本能的に軽視するのも同様の理由です。都市部のアーリーアダプターも、社会が消費者にブレーキをかけようとしても、消費者はテクノロジーを使って現在のライフスタイルを維持しようとするだろうと考えています。実際に72%の回答者は、2030年代にも短期的な個人の利益のために、デジタル技術を使って環境上の制限、規制、規範を回避すると考えています。

 スペインでは2022年に、公共施設の暖房温度を19℃、冷房温度を最低27℃に制限し、規制を行っていくことを示しました。消費者の10人中7人が、今後10年間で、リモコンで操作できるミニヒーターとクーラーを使って家庭用エアコンとヒーターを操作し、規制範囲よりも快適な温度を達成できるようになると考えています。気がかりなのは、回答者の3分の1がこうして自分たちが(将来の)法に違反することになると考えている点です。

気候詐欺
52%

都市部のアーリーアダプターの半数以上が、オンラインハッキングアプリを使って近隣の水道や電気の供給を不正に利用できるようになると予測しており、信頼できる安全な情報技術が引き続き必要とされていることを示しています。

 同様に、都市部のアーリーアダプターの10人中6人以上が、有害な廃棄物を安価に廃棄できる非公式の廃棄物収集サービスのアプリが登場すると考えています。彼らはまた、楽しみのために持続可能ではない高級品を購入したり車を運転したりする消費者のデジタル記録をアプリで隠蔽できると考えています。

 このような気候詐欺は違法になる可能性があります。ごまかしをしないことを選択した都市部のアーリーアダプターの多くはリスクがあるからだと回答していますが、ほぼ同数がごまかさない動機として環境保護を挙げています。気候詐欺を考えている人々は法的リスクを無視するかもしれませんが、不正行為には罰が伴う可能性は認識しています。今日のソーシャルメディアは豪奢なライフスタイルを自慢する人々であふれています。しかし回答者のほぼ10人中6人は、2030年代には現在のトレンドが反対になると考えています。こうした人々は実際に休日に飛び回っていても、AIが生成した近所を歩いている画像を、自動化されたソーシャルメディアボットで投稿するようになるでしょう。

 しかし気候変動に関する規制をごまかすことは、気候変動の事実を否定することではありません。気候詐欺に加担するにせよしないにせよ、都市部のアーリーアダプターの約95%は、気候変動が現実であることを知っています。違いは、それが彼らに与える影響をどのようにみなすかです。気候変動に伴う規制をごまかすと回答した回答者の4分の1が、気候変動によって日常生活が改善されると信じているのに対し、ごまかすつもりのない回答者でそう考えているのはわずか5%です。

10の注目すべき消費者トレンドインフォグラフ

方法論

 このレポートは、現在12年目を迎えたエリクソンの長期にわたる消費者トレンドプログラムから得た知見を示しています。レポートで言及されている定量的な結果は、バンコク、ベルリン、ブリュッセル、カイロ、ダラス・フォートワース、デリー、ジャカルタ、ヨハネスブルグ、クアラルンプール、リスボン、ロンドン、マドリッド、メキシコシティ、マイアミ、ミラノ、ミュンヘン、ニューヨーク、オスロ、ローマ、サンフランシスコ、サンパウロ、上海、シンガポール、ストックホルム、シドニー、台北、東京、トロント、バンクーバー、チューリッヒの居住者へのオンライン調査に基づいています。調査は2022年11月に実施されました。

 サンプルは、現在AR(Augmented Reality)、VR(Virtual Reality)、または仮想アシスタントを定期的に使っているか、近い将来にこれらのテクノロジーを使う予定のある、各都市あたり最低500人の15~69歳の回答者(合計15,145人)で構成されています。

 回答者はまずより温暖な2030年代の世界での生活を想像するよう求められ、次に日常生活における気候変動緩和の取り組みから悲惨な気象現象への対処方法に至る15の分野にわたる120のデジタルサービスのアイデアを評価しました。彼らの回答から10のトレンドが抽出されました。回答者は、調査対象の大都市圏に住む3億2,500万人の市民のうち7,500万人を統計的に代表していますが、これは世界の消費者のごく一部にすぎません。しかし私たちは、2030年代の気候シナリオで消費者が情報通信技術を日常生活にどう利用するかを検討するにあたって、アーリーアダプターというプロファイルがこれらの個人を重要なものにしていると考えています。

トレンドマップ
気候変動について

 パリ協定は、世界の温室効果ガス排出量を大幅に削減して、今世紀の地球の気温上昇を2℃未満に抑えると同時に、1.5C未満に抑える努力を追求することを目指しています。またIPCCの第6回評価報告書Impacts, Adaptation and Vulnerabilityは、地球温暖化が今後数十年またはそれ以降に一時的に1.5℃を超えた場合、多くの人間と自然システムが、1.5℃未満にとどまる場合と比較して、さらなる深刻なリスクに直面するだろうと述べています。したがって1.5℃は政治的な目標であり、気候変動が自ら拡大する不可逆的な転換点を回避するための限界値でもあります。

 世界の排出量は削減にはほど遠く、1.5度を維持するために必要な速度と規模は言うまでもなく、この制限を下回ることはますます困難になっています。IPCCの第6回評価報告書The Physical Science Basisによると、2021年から2040年までの四つの低排出シナリオと中排出シナリオの世界の平均気温上昇は1.5℃であり、最大排出シナリオでは温暖化が1.6℃に達すると推定されています。これは私たちが気候緩和の取り組みを強化する必要があることを示す一方、より困難な気候への適応にもっとフォーカスする必要があることをも示しています。

 現在の動向に基づくと、私たちはそう遠くない将来に1.5℃の上昇に達します。1.5℃の温暖化は、平均気温の上昇と極端な熱波の発生頻度増加につながります。一部の地域では、より深刻な農地の干ばつや山火事が頻発する一方で、別の地域では新しい嵐のパターンと激しい降水が生じ、洪水や地滑りが発生します。温暖化によって世界平均気温がさらに上昇すると、そのような影響はさらに頻繁かつ激しくなるでしょう。また、すでに1℃から2℃の温暖化の間に、氷河、サンゴ礁、海流などに影響を与える重要な気候転換点を通過してしまった可能性もあります。

 2022年の世界平均気温は現在、産業革命前の平均よりも約1.15℃高いと推定されています。過去8年間は史上最も暑い8年間でした。WMOのProvisional State of the Global Climateは、今年は極度の熱波、干ばつ、壊滅的な洪水が数百万人に影響を与え、数十億ドルの費用が発生したと報告しています。

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